きょうの江戸小話
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4月5日の小話

きいておいた

きいておいた

 庭の梅の木に、今年初めて、うぐいすがとんできて、よい声で鳴いたのをきいた男が、じまん顔で、となりの家にやってきていいました。
「いま、庭で、今年一番のうぐいすの声をききやした」
 すると、となりの男は、
「おまえのところは、おそいなあ。おれんところなんざあ、きのうも、おとといも鳴いてらあ」
 それをきいていた、向こうどなりの男は、
「それはおそい。四月に入ってきいたんでは、おそい。おれなんざあ、先月のすえにきいたぜ」
 そこへ、負けずぎらいの横町のいんきょがとおりかかり、
「なに、先月だと。おそい、おそい」
「ほう、さすがは、ごいんきょ。で、ごいんきょは、いつですかい?」
 するとごいんきょは、じまんげに。
「きいておどろけ。わしなんか、去年の春に、きいておいたわ」

おしまい

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