きょうの江戸小話
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4月23日の小話

しりから入る

しりから入る

 両国(りょうごく)のすもう小屋は、人気力士同士の取りくみで、たいへんなこみかたです。
 まい日、大入り満員で、あふれた客が、あっちへうろうろ、こっちへうろうろ。
 ひと目でも、取りくみをみたいとおもって、やってきた伍作(ごさく)どんも、やっぱり表からは入れず、それならと、うらへまわり、犬のように四つんばいになって、かこいの中に入ろうとしました。
 すると、たちまち中にいた、みはりの男にみつけられてしまい、
「こらこら、そこは、入るところではないぞ!」
と、えり首をつかまれ、ぐいっとおしだされてしまいました。
「ちえっ、何とか入る方法はないものかなあ」
 伍作どんは、しばらく考えて、今度は、かこいの中へ、しりから入ろうとしました。
 すると、またもや、みはりにみつかり、今度は、
「こらこら、そこは、出るところではないぞ」
と、おびをつかまれ、中へずるずると、ひきずりこまれました。
 おかげで、ただで、すもう見物ができたというわけです。

おしまい

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