きょうの江戸小話
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6月1日の小話

お祭りが、うんこ

お祭りが、うんこ

 むかし、江戸のお祭りといえば、町人たちが、よく、武者(むしゃ)すがたでねりあるいたものでした。
 それがまた、子どもたちには、たいヘん人気があったものでございます。
 さて、ある長屋に、浪人(ろうにん→お城ではたらいていない武士 →詳細)が住んでおりました。
 まじめな男でしたが、長い間の浪人生活。
 これという収入もないので、身のまわりのものを、つぎつぎと売っては、やっと、おかゆをすすっておりました。
 ところが、もう、今日という今日は、なにもかも売りつくして、先祖(せんぞ)からつたわった、よろいかぶとのほかには、着るものもなくなってしまいました。
 はだかで外へ出ることもできませんので、じっと、家にひっこんでおりましたが、そのうち、便所(べんじょ→トイレ)ヘ行きたくなりました。
 いくら長屋の共同便所とはいえ、武士の面目にもかかわりますので、はだかでいくわけにはまいりません。
 じっと、出たいのをこらえておりましたが、もう、どうにもがまんができなくなりました。
 浪人は、ちょっと考えておりましたが、
「うん、そうだ」
と、立ちあがると、とっておきのよろいをきて外ヘでました。
 長屋の便所で用をたしておりますと、おもてで遊んでいた子どもがひとり、走りこんできて、
ガラッ
と、いきなり便所の戸をあけました。
が、あわててしめると、
「おーい、おーい。みんな、おいでよ。はやく、はやく。お祭りが、うんこをしてらあ」
と、長屋じゅうをふれ歩いたと、いうことでございます。

おしまい

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