7月23日の日本民話
病気を治す地蔵
東京都の民話
むかしむかし、江戸のある町に、人の背丈よりも大きなお地蔵さんがありました。
このお地蔵さんには不思議な力があり、おできや、やけどをした人がお参りに行くと、お地蔵さんは自分の体の同じところに、やけどやおできをあらわして治してくれるというのです。
ある日の事、顔の左のほっぺたがスイカの様にはれあがった大工さんが、お地蔵さんの話を聞いてやってきました。
大工さんのほっぺたは、町の色々な医者に診てもらっても治らず、口もきけないほどの痛みに苦しんで、このお地蔵さんにすがりにきたのです。
「お地蔵さま、どうかお助けください。このままでは死を覚悟して、顔の半分を切り落とすしかありません」
大工さんが一生懸命お祈りをすると、ほんの少し、痛みが引いたような気がします。
それから次の日も、またその次の日も、大工さんは熱心に手を合わせました。
そして、八日目の事です。
大工さんがふと、お地蔵さんの顔を下から見あげると、お地蔵さんの左のほっぺたが大きくはれあがっていて、とても痛そうな顔をしているではありませんか。
大工さんは、思わず自分のほっぺたに手をあてました。
「・・・あれ?」
驚いた事に、スイカの様に大きかったほっぺたのはれが、すっかりなくなっているではありませんか。
もちろん、痛みもありません。
大工さんはおどろいて、もう一度地蔵さんの顔を見あげました。
すると地蔵さんの左のほっぺたは元に戻っていて、いつものように細い目で微笑んでいました。
「お地蔵さま、ありがとうございます!」
その後、大工さんのほっぺたは二度とはれる事がなかったそうです。
おしまい
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