9月19日の日本民話
  
  
  
  ひるごはんのただ食い
  高知県の民話
 むかしむかし、たいさくという、とんちの名人がいました。
   ある日の事、たいさくは山へ仕事に出かけましたが、お昼になってお弁当を忘れてきたことに気がつきました。
  「しまったなあ。なんとか、ただで昼ごはんを食べることはできないだろうか?」
  と、考えていたら、ちょうど一軒のお百姓(ひゃくしょう)さんの家がありました。
   うまいぐあいにおかみさんが一人でいて、昼ごはんの用意をしているところです。
  「しめしめ、あそこで、ごちそうになろとするか」
   たいさくは、いかにもこまったような顔で、家の中に入っていきました。
  「すまんが、ちょっとごはんを食べさせてくれんか。さっき弁当を食べたら、魚のほねがのどにささって、いたくてかなわん。ごはんをのみこめば、なおると思うので」
  「そりゃ、お気の毒に」
   おかみさんは、お茶わんにごはんを入れて持ってきました。
  「いやあ、もうしわけない」
   たいさくはお茶わんのごはんを口にほおばると、ゴクリとかまずにのみこみました。
  「どう? ほねはとれたかい?」
   おかみさんが言いましたが、たいさくは首を横に振って、
  「いいや、まだとれない」
   そこでおかみさんは、またお茶わんにごはんを入れてきました。
   たいさくは首をかしげながら、そのごはんをのみこんだり、かんだりしました。
   何ばいもおかわりしているうちに、やっとおなかがいっぱいになりました。
   そのとたん、たいさくさんが言いました。
  「とれた、とれた。いや、すまんかったのう」
   たいさくは、ニコニコしてお礼を言うと、
  「いやあ、食った食った。ただのごはんはうまいなあ」
と、おなかをさすりながら山へもどって行ったのです。
おしまい
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