11月11日の日本民話
水無川
山口県の民話
むかしむかし、吉敷川(よしきかわ)の川ぞいに、一人のおばあさんが住んでいました。
ある日、貧しい身なりをしたお坊さんが通りかかり、
「どうか、水を一杯飲ませてくだされ」
と、いいましたが、
「だめだめ、あっちにいきな」
「一杯だけで、いいのです」
「うるさい坊さんだね。はやくあっちへ行かないと、しょうちしないよ」
おばあさんは冷たくあしらって、水をごちそうしてあげませんでした。
それ以来、おばあさんの家の近くでは、不思議な事に川の水が川底に吸い込まれるように消えてなくなったのです。
このお坊さんこそ、旅の途中の弘法大師(こうぼうだいし)だったのです。
里の人たちは今でも、この川を水無川(みずなしがわ)と呼んでいるという事です。
おしまい
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