きょうの日本民話
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2008年 10月11日の新作昔話

月から降った餅

月から降った餅
沖縄県の民話

 むかしむかし、ある小さな島に、男の子と女の子が二人で住んでいました。
 男の子も女の子も、裸ん坊の裸足です。
 二人は一日中遊んで、遊び疲れたら眠り、目が覚めたらまた遊ぶという毎日を過ごしていました。
 食べ物は、夜の決まった時間に神さまが月から餅を降らせてくれるので、それを拾って食べればよいのです。
 男の子も女の子も、なぜ月から餅が降ってくるのか考えたこともありません。
 つきたてのやわらかな餅をお腹いっぱい食べて、緑の美しい島をかけまわり、青く輝く海で泳いでくらす毎日を、あたり前のように思っていました。
 そんな、ある夜のことです。
 いつものように、月から降ってきた餅を拾って食べていると、ふと、どちらからともなくこんなことを話し合いました。
「ねえ、今まで食べきれない餅は捨てていたけど、残しておけば、昼間お腹がすいたときに食べられるね。そうだ、今夜から残しておこうよ」
「そうね。残しておけば、夜に餅を拾わなくてもすむわね。餅の降る時間には、眠たいときもあるもの」
 そこで男の子と女の子は、食べ残した餅を雨にぬれたり泥をかぶったりしないような場所を探して、そこに置いておくことにしました。
 二人はいいことを思いついて、大満足でした。
 ところが月の神さまは、二人の思いつきが気にいりません。
「毎晩毎晩、餅を降らしてやっているのに、とっておくとは何事だ。神を信じていないのか」
 神さまは、それから餅を降らすのをやめてしまいました。
 それを知った男の子と女の子は、もうびっくりです。
 二人はあわてて、月の神さまにお願いしました。
「神さま、神さま、月から餅を降らせてください」
「神さま、お腹がすいて倒れそうです。今までのように、餅をください」
 けれど月から餅が降ってくることは、二度とありませんでした。
 男の子と女の子は次の日から海へ出て、貝や魚をとって食べるしかありませんでした。
 もう今までのように、遊びたいだけ遊ぶくらしは出来ないのです。
 二人は、お腹がすくことなど知らなかったむかしをなつかしみ、そして初めて神さまに感謝しました。

おしまい

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