きょうの日本民話
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2008年 12月4日の新作昔話

白い烏

白い鳥
大分県の民話

 むかしむかし、天皇に仕える、うなでという名の人がいました。
 あるとき、うなでは、中臣村(なかとみむら)という所へ、天皇の用事で出かけました。
 用事を終えたうなでは、宿屋に泊まって食事をして眠りについたのですが、あまりの寒さに、うなでは目を覚ましました。
 どうやら、戸をきちんと閉めずに寝てしまったのです。
「うう、寒い」
 うなでは、戸を閉めようと立ちあがりました。
 外はまだ暗く、空は東の方がほんの少し明るくなっています。
「もうすぐ、夜が明けるのだな」
 うなでが戸を閉めようとしたそのとき、北の空から飛んで来るたくさんの白い鳥が見えました。
 うなでがながめていると、白い鳥たちは音もなく近づいてきて、宿屋の前の畑に次々と舞い降りたのです。
 やせた畑に一面に白い鳥が舞い降りたのを見て、うなでは思わずためいきをつきました。
「こんなにきれいな鳥たちを見たのは初めてだ」
 うなでは戸を開けて、そっと外に出ました。
 そして白い鳥たちの方へ、ゆっくり手を差しのべると、
「ほうほう」
と、言いながら、近づいていきました。
 そのとたん、白い鳥たちは次々と細い首を羽の下にかくして丸くなると、なんとそのままお餅になってしまったのです。
「おおっ! これはどうしたことだ?!」
 びっくりするうなでの目の前で、今度はその餅が里芋になってしまいました。
「なんと、不思議なこともあるものだ」
  うなでは、その里芋を持って天皇のもとへ帰りました。
 話を聞いた天皇は、
「白い鳥は幸運を運ぶと言う」
と、とても喜んだそうです。
 そしてそのときから、中臣村の畑では立派な里芋がとれるようになったという事です。

おしまい

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