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夏の怖い話し特集
2009年
 8月14日の新作昔話

盗人宮(ぬすっとみや)

盗人宮(ぬすっとみや)
長野県の民話

 むかしむかし、広い田んぼを持った百姓家がありました。
 そこの家では、毎年、夕顔やウリを作っていますが、ある年の事、この畑に泥棒が入るようになり、夜になるとせっかく育った夕顔を盗んでいくのです。
 それがあまりにも続くので、たまりかねた主人はある晩、寝ずの番をする事にしました。
 そして主人が物陰にかくれていると、どこからか一つの黒い影が現れました。
「こらしめてやる!」
 主人は、そばにあった棒をつかむと、
「こらっ! 人の畑の物を盗む奴は、こうしてやる!」
と、泥棒めがけて棒をふり下ろしました。
 ところが打ちどころが悪かったのか、泥棒はその場に倒れて、そのまま死んでしまったのです。
 死んだ泥棒は、村人たちによってねんごろに葬られたのですが、それからというもの百姓の畑でつくった夕顔を切ると、まるで血のような赤い汁が出るようになったのです。
「これは、あの死んだ盗人のたたりだろうか?」
 怖くなった主人は、それ以来、夕顔もウリも作る事をやめて、男を葬ったあたりに小さなお宮を建ててやりました。
 いつしかこのお宮は『盗人宮(ぬすっとみや)』と名づけられました。

 今でも長野県の大町市には、盗人宮と呼ばれる小さな石の祠(ほこら)が残っているそうです。

おしまい

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