きょうの日本民話
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2010年 2月1日の新作昔話

わらびの恩

わらびの恩
岩手県の民話

 むかしむかし、大きなヘビが昼寝をしていると、不運な事に土の中から茅(かや)が芽を出して、鋭くとがった先でヘビの身体を貫き通してしまったのです。
 やがて目を覚ましたヘビは、
「あぁーーっ、よく寝たな。さて、お昼ご飯にカエルでも食べに行くか」
と、前に進もうとしたのですが、茅に体を貫かれているので、身体が前に進みません。
「あれ? おかしいなあ?」
 そこで自分の身体を見て、ようやく自分の身体が茅に貫き通されている事を知ったのです。
「わあぁぁ! これは大変だ!」
 ヘビは尻尾をバタバタさせたり、身体をクネクネしたりしましたが、どう頑張っても、茅から身体が抜けません。
「どうしよう? このまま動けないと、飢え死にしてしまうよ」 
 ヘビがほとほと困っていると、ちょうどヘビのお腹の下あたりから、可愛いワラビが出てきました。
 ワラビは、ヘビが困っているのを見ると、
「ヘビさん、ヘビさん、ぼくが身体を持ち上げてあげるから、もう少しの我慢だよ」
と、言って、ヘビの身体をどんどん持ち上げていきました。
 こうしてヘビの身体は、突き刺さっていた茅からスポンと抜けたのです。
 身体が自由になったヘビは、大喜びです。
「ありがとう、ワラビさん。本当にありがとう」
 それからヘビはワラビを大切にするようになりました。
 そして、ヘビが人間に襲うときに、人間が、
♪ヘビよ、ヘビ
♪茅畑(かやばたけ)に昼寝して
♪ワラビに助けてもらった恩を忘れたか?
♪もしも噛んだりしたならば、ワラビを全部取ってしまうぞ
と、唱えると、ヘビはワラビの恩を思い出して、道を開けてくれるのだそうです。

おしまい

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