きょうの日本民話
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2010年 2月12日の新作昔話

天に昇りそこねた亀たち

天に昇りそこねた亀たち
岡山県の民話

 むかしむかし、ある池に、たくさんの亀が住んでいました。
 ある日の事、亀の大将が言いました。
「何でも竜は、海に千年、川に千年住むと天に昇るそうだ。このわしは、この池に三千年も住んでおるから、もうそろそろ天に昇ってもよいのではないかな」
 そして亀の大将が天に昇ろうとしたので、それを見ていた息子の亀が言いました。
「それなら、わたしも一緒に連れて行って下さい」
 すると、その息子の嫁の亀も、
「あなたが天に昇られるのなら、わたしも連れて行って下さいませ」
と、頼んだのです。
 そうして次から次へ、孫亀も、ひ孫亀も、みんなみんな、
「わたしも、連れて行って下さいませ」
と、頼んだのです。
 そこで、亀の大将は、
「よしよし、それなら、みんな一緒に連れて行ってやろう。だが、いくらわしでもみんなを抱える事は出来んから、みんな順々に前の者の尻尾をくわえるといい」
と、言って、自分のしっぽを息子にくわえさせて天に昇り始めました。
 そして息子の尻尾を嫁が、嫁の尻尾を孫がと、その後に何千匹、何万匹の亀が、順番に前の亀の尻尾をくわえて、だんだんと天に昇って行ったのです。
 ところが、間もなく天に着くというところで、亀の大将が後ろを振り向いて、
「おーい、みんな、無事について来ておるか?」
と、尋ねたのです。
 するとそれを聞いた亀たちが、
「はい」
「はい」
「はい」
「はい」・・・・・・。
と、みんな返事をしたので、くわえていた尻尾をはなしてしまい、みんなあっという間に元の池の中に落ちてしまったのでした。

おしまい

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