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2010年 12月20日の新作昔話

かじやの引っこし

かじやの引っこし
中国の昔話

 むかしむかし、ある家の主人が、毎日耳を押さえて困っていました。
 それは、家の両隣が鍛冶屋(かじや)なので、朝から晩まで『カンカン、カンカン』とうるさかったからです。
「まったく、あの二軒の鍛冶屋がどこかへ引っこしてくれるなら、どんなごちそうでもしてやるんだがなあ」
 主人が、ぐちをこぼしていると、それを耳にした両隣の鍛冶屋が、二人そろってやってきました。
「わたしたちは、今度引っ越す事にしました。なんでも、引っ越せば、ごちそうをしてくださるそうで」
「それはありがたい。いいですとも、もちろんごちそうしますよ。それで、引っこしはいつですか?」
「はい。明日にも、引っ越しましょう」
「それは素晴らしい!」
 そこでさっそく、主人は二人の鍛冶屋に山の様なごちそうをしました。
 さて、ごちそうがすんだ後、主人が二人の鍛冶屋に聞きました。
「して、どちらへ引っ越されるのですか?」
 すると、二人の鍛冶屋は答えました。
「はい。わたしはこの人の家へ引っ越します」
「そしてわたしが、反対側に引っ越します」
 これでは、意味がありませんね。

おしまい

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