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2010年 12月22日の新作昔話

三匹の子ヒツジとオオカミ

三匹の子ヒツジとオオカミ
フランスの昔話

 むかしむかし、オオカミが歩いていると、向こうから黒い子ヒツジと赤い子ヒツジと白い子ヒツジが歩いてきました。
(しめしめ、うまそうな子ヒツジだ)
 オオカミは、急いで道ばたのしげみに隠れました。
 そんな事とは知らない三匹は、オオカミの隠れているしげみに近づいてきました。
 そしてオオカミは、三匹の前に飛び出したのです。
「ジャジャーン! さあ、今からお前たちを食べてやるぞ。覚悟しろ!」
 子ヒツジたちはびっくりです。
「助けてー! ぼくを食べないで。食べるなら、白い子ヒツジを食べてよ」
と、黒い子ヒツジが、言いました。
「よし、わかった。白い子ヒツジ、お前から食べてやるぞ」
「助けてー! ぼくを食べないで。食べるなら、赤い子ヒツジを食べてよ」
と、白い子ヒツジが、言いました。
「よし、わかった。赤い子ヒツジ、お前から食べてやるぞ」
 すると赤い子ヒツジが、言いました。
「助けてー! ぼくたちは、これから町の市場へ行くの。おいしいおかしを、オオカミさんにも買ってくるから、ぼくたちを食べないで」
 それを聞いて、オオカミは考えました。
「うーん。おいしいおかしか。なるほど、それじゃ急いで行ってきな。だが、おれのおかしを忘れたら、三匹とも食べてしまうからな」
 命拾いした三匹の子ヒツジたちは、ほっとして町の市場へ行きました。
 市場で三匹は、お金がなくなるまでおかしを買って食べました。
 そしてオオカミのために残しておいたおかしも、帰り道にみんな食べてしまったのです。
「おう、やっと帰ってきたか」
 三匹の子ヒツジを見て、オオカミがかけてきました。
 でも、三匹ともおかしを持っていません。
「おい、おれのおかしはどうした?」
 オオカミが、怖い顔で言いました。
「ごめんね。ちゃんと買ってきたけど、帰り道、みんなで食べちゃったんだ」
 赤い子ヒツジが言いました。
「そうか。よし、それなら、お前たちを食べてやるからな」
 オオカミが大きな口を開けると、黒い子ヒツジが言いました。
「ぼくたち、オオカミさんに食べられても仕方ないけど、食べる前に、はしばみの実をとってくるといいよ」
「そうだよ。はしばみの実と一緒に食べると、ぼくたち、とってもおいしいよ」
 白い子ヒツジが言いました。
「そうか。それもそうだな」
 オオカミは、急いではしばみの実を取りに行きました。
 その間に三匹は家に逃げ込んで、家のまわりをとげのいっぱいついた木で取り囲みました。
 そして暖炉火をつけて、どんどんまきをくべました。
 しばらくすると、オオカミがやってきました。
「おい、早く戸を開けてくれ。はしばみの実を、どっさり取ってきたぞ」
「わかった。でも、戸のカギが壊れてしまったんだ。悪いけど、煙突から入ってくれない」
「そうか、煙突からだな」
 オオカミは屋根に登ると、煙突に飛び込みました。
 そのとたん、暖炉の火が、どっと燃え上がりました。
「あっ、あつ、あつ、助けてくれー!」
 こうしてオオカミは大やけどをして、どこかへ逃げていきました。
「よかったね」
 三匹は顔を見合わせて、にっこり笑いました。

おしまい

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