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2011年 1月26日の新作昔話

お月さまが見ているよ

お月さまが見ているよ
岐阜県の民話

 むかしむかし、あるところに、お父さんと男の子が二人で暮らしていました。
 お母さんが亡くなったので、お父さんは一人で男の子を育てているのです。
 お父さんは山へ仕事に行く時も、町へ出かける時も、いつも男の子を連れて行きました。
 さて、ある月夜の晩の事です。
 町へお使いに行っての帰り道、ふと横の畑を見ると、おいしそうなカボチャが顔を出しています。
 お父さんは、そのカボチャが食べたくなりました。
 そこで男の子に、
「おい、だれか見ている者があったら、すぐに知らせろよ。今からカボチャを取ってきてやるからな」
と、言って、畑の中に入っていきました。
 そのとたん、男の子が言いました。
「だめ! お父さん、見ているよ」
「えっ!」
 お父さんはびっくりして、畑の中にしゃがみ込みました。
 でも、しばらくたっても人のいる様子がありません。
 お父さんは、畑から立ちあがって言いました。
「何だ、だれも見てないじゃないか」
 すると男の子が、空を指さして言いました。
「ほら、お月さまが見ているよ」
 空を見上げると、大きな満月が二人を照らしています。
「そうか、なるほど。たしかに、お月さまが見ているよな。・・・ありがとよ、お月さま」
 お父さんはカボチャを盗むのをやめると、男の子と手をつないで帰りました。

おしまい

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