2011年 12月2日の新作昔話
ほら吹き男爵 クマの肝
ビュルガーの童話
わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。
今回は、わがはいが公用でトルコ貴族に会いに行った時の話しだ。
わがはいは友好の証に、クマの生き肝から作った薬をトルコ貴族への手土産として持って行った。
だが配達人の手違いで、せっかくの手土産がなくなってしまったのだ。
「うむ、手土産がなくては、交渉がうまくいかんぞ。しかし、鉄砲もなしにクマの生き肝を手に入れる事は・・・。そうだ!」
ある名案を思いついたわがはいは、クマがよく出ると言われる農場へ行くと、農作業で使う車のかじ棒にハチ蜜をたっぷりと塗りつけて、クマが現れるのを待った。
すると思った通り、ハチ蜜の香りにさそわれて一頭のクマがのこのことやってきた。
(こいつは、うまそうなハチ蜜だ)
そう思ったクマは棒の先をぺろぺろなめはじめたが、調子に乗ってなめていくうちに、棒がクマののどから胃、腸を通ってお尻へと抜けたのだ。
そこで、わがはいは、
「うまくいったぞ」
と、クマに駆け寄って、クマが棒から抜け出せない様に、棒の前後に長い木くぎを打ち込んでクマを生けどりにしてやったのだ。
そしてそれからもハチ蜜に誘われて何匹ものクマがやってきたが、わがはいは同じ方法で全てのクマを生けどりにすると、それらのクマが死なない程度の生き肝を少しずつ切り取って、トルコ貴族への手土産としたのだ。
クマの肝で作った薬は万病に効くから、トルコ貴族は大喜びだったぞ。
今日の教訓は、『道具とは、工夫次第で何でも出来る』だ。
ハチ蜜と棒だけでも、わがはいの様に工夫をすればクマを捕まえる事も出来るのだからな。
では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
おしまい
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