きょうの新作昔話
童話集 > 新作

2012年 6月18日の新作昔話

猪苗代湖(いなわしろこ)の始まり

猪苗代湖(いなわしろこ)の始まり
福島県に伝わる弘法大師話

 むかしむかし、会津(あいづ→福島県)の磐梯山(ばんだいさん)のふもとを歩いていた旅のお坊さんが、機織り(はたおり)の音のする家へ、水をわけてもらいに行きました。
 機(はた)を織(お)っていたのは美しい女の人でしたが、水をわけてほしいとお願いするお坊さんを見ようともせず、
「あっちへいきな。他人に飲ませる余分な水などないよ」
と、冷たく言って、機を織り続けました。
「・・・そうですか」
 坊さまは仕方なく、今度は家の前で米をといでいる、人の好さそうな奥さんに頼みました。
「喉が渇いて困っております。その米のとぎ汁でもかまわないので、一杯飲ませてほしいのです」
 すると奥さんはにっこり笑って、手桶(ておけ)に残ったきれいな水をひしゃくにくむと、お坊さんに差し出しました。
「さあ、これをどうぞ」
 そして、おいしそうに水を飲み干すお坊さんに、
「このあたりは飲み水に不自由しております。お疲れなのに十分の水をさしあげられず、申し訳ありません」
と、頭を下げました。
 しかしお坊さんは、
「いやいや。こんなうまい水は初めてです。ありがとうございました」
と、礼を言って、やさしい奥さんにこう言いました。
「明日の朝になれば、きっといい事がありますよ」
 さて、翌朝の事です。
 あの奥さんは、家の外へ出てびっくり。
 なんと家の前には、水を満面にたたえた湖が広がっていたのです。
 その時、奥さんはふと気がつきました。
「きっと昨日のあの坊さまが、水不足に悩む村人たちを見かねて湖を作ってくれたのだわ。ありがたい、ありがたい」
 奥さんが手を合わせて感謝していると、湖のまん中から助けを呼ぶ女の叫び声が聞こえてきました。
 見てみると、あの意地悪な機織り女の家だけが、湖の中にとり残されていたのです。

 この時に出来た湖が、今の猪苗代湖(いなわしろこ)で、意地悪な機織り女が取り残された小島が扇島(おおぎしま)と呼ばれています。

おしまい

きょうの「366日への旅」
記念日検索
きょうは何の日?
誕生花検索
きょうの誕生花
誕生日検索
きょうの誕生日

トップへ