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1月16日の世界の昔話

裸の王さま

裸の王さま
アンデルセン童話 → 詳細

 むかしむかし、あるところに、たいへん着物の好きな王さまがいました。
 新しいきれいな着物をつくって、それを着て歩くのが大の楽しみです。
 ある日、服職人を名のる二人のペテン師がやってきていいました。
「わたしたちは、とても美しい布をおることができます。その布はふしぎな布で、それでつくった着物は、おろか者には見えないのです」
「それはおもしろい。さっそく布をおって、着物をつくってくれ」
 王さまは、うれしそうにいいました。
「それを着て歩けば、家来たちが、りこう者か、おろか者か、すぐ見分けがつくわけだ」
 二人のうそつき男は、布をおるのに入り用だといって、たくさんのお金を出させると、ねっしんにおりはじめました。
 ほんとうは、おっているようなふりをしていただけなのですが。
「いったい、どんな着物だろう。はやく着てみたいものだ」
 王さまは、そのふしぎな着物を早く着たくてなりません。
 そこで大臣にいいつけて、どのくらいできたかを見にやりました。
 大臣は、布をおっている二人の男のそばへいってみてビックリ。
「???」
 なにも見えないからです。
 でも見えないといえば、自分はおろか者だということを知らせるようなものです。
 そこで、王さまの所へ帰ると、
「まことにみごとな布です。もうすぐできあがって、着物にぬうそうです」
と、うそをいいました。
「そうか、それほどみごとな布か」
 王さまは自分でも見たくなり、あくる日、大臣を連れて見に行きましたが、いくら見てもなにも見えないのでビックリ。
「???」
 でも見えないといえば、自分はおろか者だというようなものです。
 王さまは、あわてていいました。
「なるほど、これはすばらしい。気にいったぞ。早く着物にぬってくれ。近いうちに行われるお祭りのときに、着て歩きたいのだ」
 さて、まもなく布はできあがり、急いで着物にぬわれました。
 そしてお祭りの日の朝、二人の男がそれをご殿へ届けにきていいました。
「さあ、わたしたちが新しい着物をお着せしますから、王さま、裸になってください」
 裸になった王さまに、二人の男はできあがったことになっているその着物を、ていねいに着せるふりをしました。
 着せ終わると、そばにいた家来たちは、
「まことによく似あって、ごりっぱです」
「ほんとうに。それにしてもみごとな着物です」
と、口ぐちにほめたてました。
「そうか、そんなによく似あうか」
 王さまは、いかにも満足そうにいいました。
「新しい着物のうわさを聞いて、町の者も早く見たがっておる。すぐに出発させよ」
 王さまは行列をしたがえると、いばって、ゆっくり歩きました。

はだかの行進

 それを見たおおぜいの町の人たちは、目を見はりながら、わざと大きな声で口ぐちに、
「なんてりっぱだろう、よくお似あいだ」
「さすがは王さま。着物がよくお似合いだ」
と、いいました。
 本当は、みんな何も見えていないのですが、そんなことを人に知られたら、自分はおろか者だと思われてしまいます。
 そのときです。
 行列を見ていた小さな子どもが、笑っていいました。
「わーい、おかしいな。裸の王さまが、いばって歩いてる」
 その声を聞いた町の人たちは、見えもしない着物を見えるようなふりをして、うそをいっていたことがはずかしくなりました。
 いや、それよりももっとはずかしかったのは、ペテン師にだまされて、裸で歩いていたことに気がついた王さまです。
 でも、すぐに行進をやめるわけにはいきません。
 王さまは、はずかしくてまっ赤になった顔のまま行進を終えると、逃げるようにお城へ帰っていきました。

おしまい

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