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2月14日の世界の昔話

ほら吹き男爵 戦争の武器は野菜

ほら吹き男爵 戦争の武器は野菜
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 わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
 みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
 今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。

 暴風にのって、われわれはついに月世界にやって来た。
 月世界にも港があったので、わがはいの船はそこでいかりをおろした。
「男爵。ここが月世界ですか。あまり、変わりばえしないところですな」
 船長が、がっかりした顔で言った時、
 バサバサバサ!
と、上空で、すさまじい音が聞こえた。
 おどろいて見あげると、
「あーっ!」
 なんと、体が船の帆の六倍もあり、しかも三つの頭を持った大ハゲタカが、わがはいたちめがけてまいおりてくるではないか。
「おのれ、怪物!」
 わがはいは、すぐさま鉄砲をかまえた。
 するとハゲタカの背中から、
「ようこそ、月世界へ」
と、身の丈が十メートルもありそうな大男が降りてきたのだ。
 その顔を見て、わがはいたちはぞうっとした。
 大男の顔はふみつぶしたブルドッグのようなで、目が鼻の下の両側についているのだ。
 わがはいは、この怪物が書物で見たシリウス星の土人そっくりであることに気がついて、
(やはり、巨人の国は月世界にあったか)
と、気味悪くなりながらも、うれしくなった。
「みなさま、王さまがお待ちでございます。さあ、どうぞ」
 大男に言われて、わがはいたちはハゲタカの背中に乗り込んだ。
 ハゲタカは、すごいスピードで大空をぐんぐんと飛んだ。
「どうです、早いでしょう。月世界では、ハゲタカを馬のかわりに使っているのですよ」
 ふと下を見おろすと、何千人というこの大男と同じような大男たちが、大根をぶっつけあって、すべったり、ころんだりと、大騒ぎをしている。
「ほう、お百姓さんのけんかですか?」
と、わがはいが聞くと、
「けんか? 冗談じゃない、あれは戦争ですよ」
と、大男は機嫌を悪くして言った。
「月世界の戦争は、大根をぶつけあって勝負を決めるのです。
 地球みたいに刀や鉄砲で殺しあうような、野蛮なまねはしません」
「なるほど、それは大らかな事で。でも、大根の季節がすぎたら、どうするのです?」
「その時は、アスパラガスのくきを使います。たては、キノコです。キノコは、年中手に入りますからね」
「ほう」

 そのうちに、わがはいたちを乗せたハゲタカは、王宮の広場へとたどりついた。
 そして、豪華な大広間に案内されると、
「やあ、きみが有名な、ミュンヒハウゼン男爵だね」
と、王さまは、にこにこして声をかけた。
「きみの武勇伝は、この月世界にまで知れわたっている。ひとつ、冒険談の数々を聞かせてはくれぬか」
「かしこまりました。喜んで」
 わがはいの武勇伝がこの月世界にまで届いていると知って大いに喜んだわがはいは、三日三晩ぶっ通しで、得意の冒険談を聞かせてやった。

 今日の教訓は、『芸は身を助ける』だ。
 わがはいの冒険は芸ではないが、得意な事をやり続ければ、いつかそれを評価してくれる者が現れる。
 わがはいに数多くの武勇伝があるからこそ、こうして月世界の王さまが招待してくれたのだ。

 さて、この月世界の話は長いので、続きはまた今度してやろうな。 わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
 みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
 今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。

 暴風にのって、われわれはついに月世界にやって来た。
 月世界にも港があったので、わがはいの船はそこでいかりをおろした。
「男爵。ここが月世界ですか。あまり、変わりばえしないところですな」
 船長が、がっかりした顔で言った時、
 バサバサバサ!
と、上空で、すさまじい音が聞こえた。
 おどろいて見あげると、
「あーっ!」
 なんと、体が船の帆の六倍もあり、しかも三つの頭を持った大ハゲタカが、わがはいたちめがけてまいおりてくるではないか。
「おのれ、怪物!」
 わがはいは、すぐさま鉄砲をかまえた。
 するとハゲタカの背中から、
「ようこそ、月世界へ」
と、身の丈が十メートルもありそうな大男が降りてきたのだ。
 その顔を見て、わがはいたちはぞうっとした。
 大男の顔はふみつぶしたブルドッグのようなで、目が鼻の下の両側についているのだ。
 わがはいは、この怪物が書物で見たシリウス星の土人そっくりであることに気がついて、
(やはり、巨人の国は月世界にあったか)
と、気味悪くなりながらも、うれしくなった。
「みなさま、王さまがお待ちでございます。さあ、どうぞ」
 大男に言われて、わがはいたちはハゲタカの背中に乗り込んだ。
 ハゲタカは、すごいスピードで大空をぐんぐんと飛んだ。
「どうです、早いでしょう。月世界では、ハゲタカを馬のかわりに使っているのですよ」
 ふと下を見おろすと、何千人というこの大男と同じような大男たちが、大根をぶっつけあって、すべったり、ころんだりと、大騒ぎをしている。
「ほう、お百姓さんのけんかですか?」
と、わがはいが聞くと、
「けんか? 冗談じゃない、あれは戦争ですよ」
と、大男は機嫌を悪くして言った。
「月世界の戦争は、大根をぶつけあって勝負を決めるのです。
 地球みたいに刀や鉄砲で殺しあうような、野蛮なまねはしません」
「なるほど、それは大らかな事で。でも、大根の季節がすぎたら、どうするのです?」
「その時は、アスパラガスのくきを使います。たては、キノコです。キノコは、年中手に入りますからね」
「ほう」

 そのうちに、わがはいたちを乗せたハゲタカは、王宮の広場へとたどりついた。
 そして、豪華な大広間に案内されると、
「やあ、きみが有名な、ミュンヒハウゼン男爵だね」
と、王さまは、にこにこして声をかけた。
「きみの武勇伝は、この月世界にまで知れわたっている。ひとつ、冒険談の数々を聞かせてはくれぬか」
「かしこまりました。喜んで」
 わがはいの武勇伝がこの月世界にまで届いていると知って大いに喜んだわがはいは、三日三晩ぶっ通しで、得意の冒険談を聞かせてやった。

 今日の教訓は、『芸は身を助ける』だ。
 わがはいの冒険は芸ではないが、得意な事をやり続ければ、いつかそれを評価してくれる者が現れる。
 わがはいに数多くの武勇伝があるからこそ、こうして月世界の王さまが招待してくれたのだ。

 さて、この月世界の話は長いので、続きはまた今度してやろうな。

おしまい

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