8月19日の世界の昔話
大きなスイカ
ロシアの昔話 → 国情報
むかしむかし、あるところに、とてもまずしい、お人よしの男がいました。
小さな畑をたがやして、その日その日をくらしていました。
春になったある日、男が畑をたがやしていると、コウノトリが飛んできました。
「ああ、コウノトリがくる季節(きせつ)になったのか」
空を見あげていると、どうしたことか、コウノトリが下に落ちてきたのです。
男がかけよってみると、片方の羽がおれています。
「かわいそうに、助けてやらなくては」
と、家につれて帰りました。
おれた羽をてあてして、男は自分の子どものようにせわをしてやりました。
何日かたって、やっと元気になったので、男はコウノトリを空へ飛ばしてやりました。
「げんきでな!」
男は手をふって、コウノトリが見えなくなるまで見おくっていました。
あくる年の春。
男が畑をたがやしていると、コウノトリが飛んできました。
「もしかして、あのコウノトリでは?」
と、男が空を見あげていると、コウノトリがなにかを落としました。
ひろってみると、それはスイカのタネです。
スイカのタネは、三つぶありました。
「はて? このタネを、まけというのかな?」
男はスイカのタネを、畑にまきました。
タネは芽(め)を出し、つるがのび、大きな花をさかせました。
男がいっしょうけんめい、せわをしたおかげで、スイカは大きくなりました。
男は三つ取って、家に持って帰りましたが、一人ではとても食ベきれません。
「そうだ、友だちをよんでこよう」
男は、おおぜいの友だちをよんできました。
「りっぱなスイカだな」
男はスイカを切ろうとしましたが、切れません。
二つめのスイカも切れません。
三つめのスイカも切れません。
「切らずに、ほうちょうでたたいたらどうだい」
「ああ、そうしてみよう」
男は、思いっきり強くたたきました。
すると、スイカはポコンとわれました。
「あれっ!」
「まあ!」
「これは!」
なんとスイカには、金貨がいっぱいつまっていたのです。
ほかの二つにも、金貨がつまっていました。
「さあ、みんなでわけよう」
みんなまずしかったので、大よろこびで金貨をもらいました。
さて、近くにお金持ちの男がすんでいました。
よくばりな男で、このことを聞くと畑へいって、コウノトリをさがしました。
いました。
エサを食べています。
「しめた!」
お金持ちは、そっと近よると、棒でコウノトリの足をなぐりつけました。
コウノトリがたおれると、連れて帰って傷の手当てをして、毎日せわをしました。
やがてよくなったので、空へ飛ばしてやりました。
あくる年の春になって、お金持ちは畑にいきました。
「きょうはこないか、きょうはこないか」
と、お金持ちは毎日、畑にいきました。
待ちくたびれてイライラしているところへ、やっとコウノトリが飛んできました。
コウノトリがタネを三つ落としたので、お金持ちはすぐに畑にまきました。
まもなく芽が出て、つるがのび、花がさいて、大きなスイカになりました。
お金持ちは、やっぱりお金持ちの友だちをおおぜいよびました。
そしてスイカをほうちょうでたたくと、ポカッと二つにわれましたが、中につまっていたのは金貨でなくて、なんとも大きなハチだったのです。
「ブーン」
たくさんの大きなハチたちは、いっせいに飛び立つと、お金持ちやお金持ちの友だちにおそいかかりました。
※ よくにたお話しが、日本にもあります。 → 腰折(こしお)れスズメ
おしまい
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