福娘童話集 小学生童話 6年生
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6年生の江戸小話(えどこばなし)

聞きまちがい

聞きまちがい

 ある男が、眼の調子(ちょうし)がわるい佐助(さすけ)の手を引いて、眼の治療(ちりょう)につれていきました。
 歩いているうちに、道ばたに、俵(たわら→米などを入れる、わらをあんで作ったふくろ)にくるんだ赤ん坊(あかんぼう)のすててあるのを見つけました。
 男が、おどろいて、
「おいおい! 佐助(さすけ)。ここに俵にくるんだ子めがすててあるぞ!」
と、おしえました。
 すると、佐助(さすけ)が、
「なんだ! なんだ! 米がすててある? そんなら拾っておけ」
と、いうので、
「いやいや、それが、赤子めなのじゃ」
と、いうと、
「赤米でもいいから、拾うがいい」
と、いうので、男が、じれったがって、
「いや、そうじゃない。人じゃ」
と、いうと、
「四斗(4と→約七十二リットル)もあるのなら、二人で、仲よく二斗(2と)ずつ分けよう」

おしまい

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