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5年生の江戸小話(えどこばなし)
かわをむく
春の日がここちよい、ある日のこと。
ある長屋(ながや)の一行が、桜(さくら)の花が咲(さ)きほこる川辺に、花見見物に出かけました。
さて、一通りの見物をすませ、小腹(こばら)のすいた一行は、もってきたさくらもちを食べることにしました。
その一行の中の一人に、食い意地の張(は)った男がおりまして、さくらもちにまいてあるかわ(→葉っぱの事)ごと食べています。
となりに座(すわ)っていた女房(にょうぼう)が、いいました。
「おまえさん。それはかわをむいて食べるんだよ」
すると、その男は、
「おお、そうかい」
と、いって、さくらもちをかわのついたまま、川の方を向いてたべました。
おしまい