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5年生の江戸小話(えどこばなし)
生まれかわる
むかしむかし、お坊(ぼう)さんが、山で狩人(かりうど)に出会いました。
狩人(かりゅうど)が、殺したけものをぶらさげているのをみて、お坊(ぼう)さんは、お説教(せっきょう)をはじめました。
「これ、狩人(かりゅうど)。おまえは、生き物の命を取ってばかりいると、あの世で、殺したけものになってしまうぞ。悪いことはいわぬ、殺生(せっしょう→生き物を殺すこと)はやめよ」
と、いうと、狩人(かりゅうど)は、
「そんなら、この世でキツネを殺せば、やっぱりあの世で、キツネになりますのか」
「いかにも」
すると狩人(かりゅうど)は、わんわんと泣いて、涙(なみだ)を流しながら、おそろしがりました。
しばらく泣いていましたが、なにをおもったか、きゅうに鉄砲(てっぽう)に玉をこめると、お坊(ぼう)さんめがけて、うとうとします。
お坊(ぼう)さんは、びっくりして、
「これ、なにをするのじゃ!」
と、いうと、狩人(かりゅうど)は、
「へい、お坊(ぼう)さんを殺しておいて、あの世で生まれかわるときに、坊(ぼう)さんに生まれかわりとう、ございます」
おしまい