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5年生の江戸小話(えどこばなし)
すり足
店に、たいせつな客がやってきたので、主人はおくの下女(げじょ)にむかって、
「おい、お清(おきよ)。お茶を持っておいで」
と、いいつけました。
すると、台所のほうから下女のお清が、すり足で、しずしずと茶を持ってまいります。
客が帰ったあとで、主人は、
「これお清。おまえは、いなか者だとけんそんしていたが、どうしてどうして、たいしたものだ。いまのお茶の持ってきかたなんぞ、しずしずとすり足をしてきて、まこと、うまいものであった」
と、いってほめますと、下女は、
「ああ、めしつぶをふんづけたんで、たたみにすりつけながら、歩きました」
おしまい