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5年生の江戸小話(えどこばなし)
のんべえ親子
たいへん、のんべえの親子がおりました。
父親もむすこも、酒によわない日はありません。
ある日のこと、父親は外で酒を飲み、べろんべろんによっぱらって、家に帰ってきました。
むすこはむすこで、親のいないまにと、さかんに飲んでおりました。
「おいっ、むすこ! 帰ったぞ」
父親は、ふらつく足をふんばって、げんかんに立つと、むすこは酒のはいった茶わんを持ったまま出てきて、
「はてさて、今日はどこをふらついておりましたか?」
と、いうと、
「どこへいこうとおまえの知ったことか。それより、昼間から酒を飲みおって。おまけに、頭が二つもあるじゃないか。そんなやつには、この家は、つがせないぞ!」
と、どなると、むすこも、
「ええい、うるさい親父め! こんな、ぐるぐるまわる家なんぞ、ほしくはないわ」
おしまい