福娘童話集 小学生童話 4年生
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4年生の江戸小話(えどこばなし)

絵ときのくすりぶくろ

絵ときのくすりぶくろ

 むかしは、おいしゃさんの中にも、字をしらないひとがいました。
 よみかきができないので、薬のざいりょうを入れたふくろには、それぞれの中身がわかるように、絵をかいておきました。
 あるとき、このいしゃの友だちが遊びにきて、たずねました。
「その、さむらいの絵のかいたふくろは?」
「附子(ぶし→トリカブトの根をとって乾(ほ)した生薬で、興奮(こうふん)や鎮痛(ちんつう)の効果(こうか)があります)といって、きつけや、いたみどめの薬にござる」
「そのとなりのえんまさまの絵は?」
「このふくろは、大黄(だいおう→タデ科の多年草で、黄色い根茎(こんけい)の外皮を取り、乾(ほ)した生薬で、胃薬(いやく)や下痢止(げりど)めの効果(こうか)があります)といって、はらくだしの薬にござる」
「して、そのとなりの、犬のチンが火にあたっている絵のふくろは?」
「陳皮(ちんぴ→みかんの皮を乾(かわ)かした生薬で、せきやたんを押(お)さえ、胃薬(いやく)や風邪薬(かぜぐすり)の効果(こうか)があります)といって、せきどめや、いのくすりにござる」

おしまい

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