福娘童話集 小学生童話 4年生
ふくむすめ童話集 > 小学生童話 > 4年生向け > 世界昔話 > トルーデおばさん

4年生の世界昔話

トルーデおばさん

トルーデおばさん
グリム童話 →グリム童話のせつめい

 むかしむかし、あるところに、とってもわがままな娘(むすめ)がいました。
 その娘(むすめ)がある日、両親(りょうしん)にいいました。
「わたし、トルーデおばさんの所に行くの。人に聞いたんだけど、そこにはめずらしいものがたくさんあるんだって。わたし、行ってみたくてしょうがないのよ」
 娘(むすめ)の言葉に、両親はあわてて反対しました。
「トルーデおばさんは、たいへんな悪人なんだよ。とんでもない悪いことをしているんだ。あんな所へ行ったら、二度と戻(もど)ってこれなくなるから」
 ところが娘(むすめ)は、親のいうことなんかまるでききません。
 娘(むすめ)はそのまま、トルーデおばさんの所へ出かけていったのです。
 やってきた娘(むすめ)を見るなり、トゥルーデおばさんが聞きました。
「おまえは、どうしてそんなに青い顏をしているんだい?」
 娘(むすめ)は、ふるえながら答えました。
「あたし、こわくって。おばさんの家のはしごで、まっ黒な人を見たのよ」
「それは、炭を焼(や)く男さ」
「それから、まっ青な男も見たわ」
「それは、狩人(かりゅうど)だよ」
「その次に、血みたいに、まっ赤な男に会ったわ」
「それは、獣(けもの)を殺(ころ)す男だ」
「それに、この家のまどからおばさんは見えなくて、頭が火で燃(も)えているオニが見えたの」
「そうかい、そうかい」
 おばさんは、ぶきみに笑(わら)いました。
「おまえは、魔女(まじょ)が化粧(けしょう)をするところを見ただけさ。わたしはおまえがくるのを待っていたんだ。さあ、光っておくれ」
 そういうとトルーデおばさんは、魔法(まほう)で娘(むすめ)を木の棒(ぼう)にかえてしまいました。
 おばさんはその棒(ぼう)をつかむと、かまどの火にくべてしまったのです。
 そして、うれしそうにつぶやきました。
「どうだい、明るいじゃないか」

おしまい

ページをとじる