福娘童話集 小学生童話 4年生
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4年生の世界昔話

トラの前をあるいたキツネ

トラの前をあるいたキツネ
中国の昔話 → 中国のせつめい

 むかしむかし、みちでキツネがトラにであいました。
 トラは足のツメでキツネをつかまえると、大きな口をあけてたべようとしました。
「ちょっと、まってください、トラさん」
と、キツネがいいました。
「あなたは、じぶんだけがつよくて、どうぶつたちの王さまだとおもっているのでしょう。でも、あなたはまだ、わたしにはかないませんよ」
「なに? おまえがおれよりつよいもんか!」
「いいえ、うそだとおもうのなら、わたしといっしょにあるいてごらんなさい。人間たちがわたしを見て、もしこわがらなかったら、そのときはわたしをたべてもいいですよ」
「よし、ではいっしょにいってみよう」
 それでキツネはトラをつれて、にぎやかな町へいきました。
 すると、町をあるいていた人間たちは、みんなキツネのうしろをあるいているトラをとおくから見ただけで、こわがってにげていってしまいました。
 それでキツネは、
「ねえ、どうですトラさん、人間たちはわたしを見て、にげていったでしょう」
と、いばっていいました。
(ほんとうだ。あの人間がこんなにおそれるとは、キツネはそうとうつよいやつにちがいない)
 トラはキツネがこわくなって、しっぽをまいて逃(に)げていってしまいました。

おしまい

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