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すぎの木、百本
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杉の木、百本
吉四六(きっちょむ)さん → 吉四六さんについて

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スタヂオせんむ

 むかしむかし、吉四六さんと言う、

すぎの木、百本

 とてもとんちの出来る人がいました。

 ある日の事、吉四六さんの村でお寺を建て直す事になり、世話人が寄付を集めに来ました。

すぎの木、百本

「どうだろう、吉四六さん。
 吉四六さんがう〜んと出してくれれば、他のみんなだって負けずに出してくれるはずだ。
 だから何とか、よろしく頼みますよ」

すぎの木、百本

「いいとも。任せてくれ」
 吉四六さんは、世話人の持って来た帳面に、

すぎの木、百本

《杉の木、百本》
と、書きました。
「へえっ〜! 杉の木を、百本も寄付してくれるのか」

すぎの木、百本

 世話人は大喜びで、今度は庄屋さんの家に行きました。

すぎの木、百本

「何! あのけちの吉四六さんが、杉の木を百本も寄付するだと!」
 庄屋さんは、びっくりしながらも、
(庄屋のわしが、吉四六さんより少なくては恥ずかしいな)

すぎの木、百本

と、思い、仕方なく、

すぎの木、百本

《米、百俵》
と、書きました。

すぎの木、百本

 それからも吉四六さんのおかげで、村のみんなはいつもよりたくさんの寄付をする事になりました。

 さて、いよいよ寄付すると書いた物を、集める日がやって来ました。

すぎの木、百本

 吉四六が杉の木を百本も寄付すると言うので、大勢の人が車をひいて吉四六さんの家へやって来ました。

すぎの木、百本

「吉四六さん、この度は杉の木、百本もの寄付をありがとうございます。
 それで杉の木を取りに来たんだが、ここには無いようだな。
 吉四六さん、どこへ取りに行ったらいいんだい?」
 すると、吉四六さんは、

すぎの木、百本

「いやいや、どこへも行かんでいい。今ここで渡すから」

すぎの木、百本

と、言って、杉の木のおはしを百本渡したそうです。

すぎの木、百本

おしまい

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