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11月27日の日本の昔話

すもうとりとびんぼうがみ

すもうとりとびんぼうがみ

 むかしむかし、つるぎ山という、すもうとりがいました。
 はじめはガリガリの小さなからだでしたが、いっしょうけんめいけいこをしたので、ズンズン大きくなりました。
「はやく大関(おおぜき→むかしは、大関が一番つよい位でした)になりたいなあ。大関になって、お母さんによろこんでもらうんだ」
 つるぎ山は大関になるのをたのしみに、いよいよけいこにはげみました。
 ところが、どうしたのでしょうか。
 ある日から、つるぎ山は、きゅうによわくなりました。
 じぶんよりからだの小さい者にも、コロコロと、まかされてしまいます。
「これはおかしい。ゆだんしたからだろう。もうゆだんしないぞ。さあこい!」
 でも、やっばりだめでした。
 いくらがんばっても、コロコロとまけます。
 つるぎ山は、すっかり落ちこんで、
「もうだめだ。こんなことでは大関にはなれない。・・・もう、すもうとりはやめよう」
 そして、お世話になった親方(おやかた)にいいました。。
「もう、げんかいです。いなかへかえります。お母さんのそばではたらきますから、ひまをください」
「いやいや、ガマンするのだ。だれでもまけることはある。だが、まけてもけいこをすれば、つよくなる。しんぼうして、がんばってくれ」
 おやかたは、こういってはげましました。
 けれども、つるぎ山はコッソリ、おやかたの家をにげだしました。
 そして、お母さんのいる、いなかへかえりました。
「お母さん、ごめんなさい。すもうとりになりましたが、どうしても大関になれそうもありません。これからはいなかではたらきます。そばへおいてください」
 手をついてあやまるつるぎ山に、お母さんは、きびしくいいました。
「いけません! そんないくじなしは、お母さんの子ではありません。もう一度、おやかたさんのところへいって、しっかりけいこをしてごらんなさい。大関になるまでは、二度とかえってはいけません!」
「でも」
「はやく、おやかたさんのところにかえりなさい!」
「・・・はい」
 しかたがありません。
 つるぎ山は、おやかたのところへもどることにしました。
 かえるとちゅうに、けわしい山があります。
 つるぎ山は、山をのぼっていきました。
「おーい、おーい」
 だれかが、うしろからよびました。
 それは、へんな男でした。
 頭の毛がボウボウとのびていて、からだはやせて、ほねとかわばかりです。
「わたしに、なにかようかね?」
 つるぎ山は、おかしな男をにらみつけました。
「さようです。ヘヘヘへ。わたしをおいてきぼりにしないでくださいよ。けさはうっかりして、おくれましたが、いつもいっしょのわたしです。さあ、いきましょう」
「・・・? いつもいっしょだって? そんなことしらないな。いったい、おまえはだれだ!」
「わたしですか。ヘヘヘへ。わたしは、びんぼうがみです。いつも、あなたについているのです」
 つるぎ山は、ビックリしました。
 そして、びんぼうがみの顔をジッとにらみました。
「わかったぞ! おまえがついているから、わたしはすもうにまけるのだな。そうだろう」
「ヘヘヘへ。そのとおりです。わたしがとりつけば、だれでもいくじがなくなって、しょうぶにまけます。心もよわくなるのです」
「そんなやつが、なぜわたしについたのだ。わけをいえ!」
「ヘヘヘへ。わたしは、あなたがすきなのです」
 びんぼうがみは、ヘラヘラわらいながら、つるぎ山のあとをついてきます。
 つるぎ山は、かんがえながらあるきました。
(なぜ、びんぼうがみがそばへよってくるのだろう。・・・そうだ。きっとわたしがいくじなしだからだ。よし、げんきをだそう。びんぼうがみなんかにまけるものか!)
 つるぎ山は、びんぼうがみにふりかえり、
「こらっ、びんぼうがみ! ひとつ、すもうをとろうじゃないか」
「ヘヘへへ。すもうをとるのですか? まあ、とってもいいのですが、でも、わたしのほうがかちますよ」
「そんなことはない。かつのはわたしだ!」
「いいえ、いくじなしのあなたでは、わたしにはかてません」
「かてるものならかってみるがいい。さあ」
 つるぎ山は、はだかになりました。
 ドシン、ドシンと、しこをふんでから、びんぼうがみにくみつきました。
 そして、両手にこんしんの力を込めて、
「えいっ!」
 びんぼうがみを、谷ぞこへなげとばしたのです。
 するとつるぎ山は、きゅうにからだがかるくなりました。
 手に足に、力の出るのがわかりました。
「もうだいじょうぶ。びんぼうがみをたいじしたから、つよくなれる」
 げんきいっぱいで、おやかたのうちへもどりました。
 つるぎ山は、それから日に日につよくなり、そして三年目には、ついに大関になることができたのです。

おしまい

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