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9月21日の世界の昔話
ほらふき男爵 怪魚のお腹に閉じこめられた話
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わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
みんなからは「ほらふき男爵」とよばれておる。
きょうは、わがはいがあやうく命を落としかけたときの話をしよう。
フランスは、マルセーユ近くの海で泳いでいた日のことじゃ。
ふと気がつくと、波を立てて巨大な魚が大口を開けておそってきた。
わがはいは、あっというまに飲み込まれてしまった。
わがはいは魚の胃袋の中で、けったり、飛びはねたり、スコットランドのダンスをおどりまくっりしてやった。
あんのじょう、魚のやつはビックリ。
なにしろ自分の胃が勝手にあばれだしたのだからな。
それで、巨大魚があばれているの見つけたイタリア人の猟師たちが、モリを打ちこんで魚をしとめてくれたんじゃ。
イタリア人たちは魚を甲板に引きあげると、
「腹を切って、油をとろう」
と、いっておる。
わがはいは、いっしょに切られてはたまらんと、魚の胃の中から大声をあげたんじゃ。
「腹を切るのはやめろ! 中には人が入っているのだぞ。それよりもさかなの口からナイフを投げ入れろ。わがはいはそれを使って出ていくから」
いやはや、わがはいが魚の腹から出てきたときの、やつらの驚きようといったらなかったぞ。
ともかく無事助かったおかげで、今、こんなおしゃべりをしておれるわけじゃ。
では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
おしまい