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12月5日の世界の昔話

雪娘

雪娘
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 むかしむかし、さむい北の国に、おじいさんとおばあさんがすんでいました。
「おじいさん、たった二人きりですと、さびしいですねえ」
「そうだね。せめて、子どもでもいれば・・・」
 おじいさんとおばあさんには、子どもが一人もいなかったのです。
「ほら、外を見てごらん。子どもたちが雪遊びをしているよ」
 まどから外を見ると、雪が一面につもっていて、子どもたちが大きな雪だるまをつくっていました。
「おばあさん。わたしたちも雪だるまをつくろう」
「そうですねえ。でもおじいさん。それならば、ボウシをかぶって、手ぶくろをはめて、長ぐつもはいている、かわいい女の子をつくってみましょうよ」
「うん、そうしよう」
 おじいさんとおばあさんは、うれしそうに外へ出ると、庭(にわ)のまん中に雪を集めて、それはかわいい、本物そっくりの雪の女の子をつくりました。
「さあ、この子になんていう名まえをつけようか?」
「そうですねえ」
 おばあさんがいったときです。
「わたしは、カーチャ」
 とつぜん、その雪の女の子が口をきいて、おじいさんとおばあさんに飛びついてきたのです。
 白いほっペたは、みるみるピンク色になり、炭(すみ)でつくった黒髪と大きな黒い目は、本当の黒髪と目になりました。
 おじいさんとおばあさんは大喜びです。
 さっそく、女の子を家に連れてくると、
「カーチャ、おまえはうちの子だよ」
 そういって洋服をつくってやったり、リボンをむすんでやったり、新しい長ぐつを買ってやったりして、それはそれは大切に育てることにしたのです。
 ところが、冬が終わって春がきて、雪がすっかりとけてしまうころになると、女の子はなんだか元気がなくなって、家の中でジーッとすわっているのです。
 やがて、北の国にも夏がやってきました。
「カーチャ、森へ遊びにいきましょう」
 近所の友だちが、女の子をよびにきました。
「いやよ。外はあついんですもの」
「まあ、カーチャ、森へいけばすずしいわ。小川の水はつめたくて、いい気持ちよ」
 みんながいうと、おじいさんとおばあさんもいいました。
「そうだよ、カーチャ。たまには外で遊んでおいで」
 そこで女の子は、しぶしぶ、みんなと森へ出かけていきました。
 でもほかの子は、お日さまの下で花をつんだり、走ったりしているのに、女の子はたった一人、一日じゅう小川で足をひやしていました。
「カーチャったら、おかしな子ね」
 タ方になって、森の向こうにお日さまがしずみました。
「さあ、今度はたき火をして、みんなでたき火のとびこえっこをしましょう」
と、だれかがいいました。
「わたしが一番よ」
「わたしが二番よ」
 三番目が飛んで、四番目が飛んで、
「あら、カーチャがまだね」
 とうとう、女の子の番になりました。
「どうしたのカーチャ、飛ばないの? 飛ベないの? こわいの?」
 女の子が、いつまでたってもジーッとたき火の火を見ているので、みんながいいました。
「わかったわ。カ一チャは、たき火がこわいのよ。弱虫(よわむし)なのよ」
「そうよ、そうよ。カーチャは弱虫よ」
 女の子は、みんなを見ました。
「・・・弱虫じゃないわ」
 女の子は、とうとう決心をして、火の上を飛びこえました。
 ピョーン。
「ごらんなさい、飛んだでしょ。弱虫じゃないわ」
 ところが女の子は、たき火を飛びこしたかと思うと、みるみるピンク色のほっペたが白く、うすくなって、やがて手も足もからだも消えてしまいました。
 寒い冬の雪から生まれた女の子は、ちょうど、雪がとけるように消えてしまったのです。

おしまい

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