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1月26日のイソップ童話

デマデスの演説

デマデスの演説

♪音声配信

亜姫のイソップ童話より

 むかしギリシャに、デマデスという演説(えんぜつ)の上手な人がいました。
 ある日、デマデスはアテネの市民たちを前にして、演説をしていました。
 いっしょうけんめいに話しているのに、みんなはガヤガヤさわいでいて、ちっともまじめに聞いてくれません。
 そこでデマデスは、
「みなさん、わたしはここでひとつ、イソップのお話しをしたいのですが、いいですか?」
と、大きな声でたずねました。
「いいぞ」
と、みんなはよろこんでさけびました。
 デマデスは、はなしをはじめました。
「農業のまもり神デメテールと、ツバメとウナギがいっしょに旅に出ました。しばらくいくと、橋がかかっていない川がありました。ツバメは空に舞い上がって、むこう岸につきました。ウナギは川に飛び込んで、泳いでいきました」
 ここまで話して、デマデスは話をやめました。
「・・・で、デメテールはどうした、デメテールは」
と、みんなは口ぐちにさけびました。
「デメテールは、あなたがたに腹を立てました。政治のだいじな話しは聞こうとしないで、イソップの作り話しだけをおもしろがるのは、いけないことだと」

 このように、大切なことはほったらかして、おもしろおかしいことばかりやりたがる人は、こまりものです。

おしまい

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