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10月27日のイソップ童話
ねむっているイヌとオオカミ
一匹のイヌが、ある農家の前でねむっていました。
オオカミがそれを見て、えじきにしようとおそいかかりました。
するとイヌは、
「いま、ぼくを殺すのはやめて下さい」
と、あわてていってから、そのわけを説明しました。
「ぼくはいま、ごらんのとおり、ガリガリにやせているでしょう。けれど、すこし待って下さい。もうじき、この農家で結婚式があるのです。そのときは、ぼくもたくさんごちそうを食べられるから、ふとって、ずっとおいしいえものになりますよ」
オオカミは信用して、立ちさりました。
しばらくたって、オオカミがまたやってきました。
見るとイヌが、農家の二階でねむっています。
オオカミは下から、
「おーい、イヌくん。このあいだの約束を、おぼえているだろう」
と、さけびました。
するとイヌは、
「やあ、オオカミくんか。いいことをおしえてあげよう。これから先、ぼくが家の前でねむっているのを見たときは、結婚式まで待つのはやめることですね」
りこうな人は、一度危険をまぬがれたら、それをよくおぼえていて、二度とくりかえさないように用心するものだと、このお話しはおしえています。
おしまい