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11月20日のイソップ童話
  
  
  
ネコとニワトリ
   ネコが、ニワトリをつかまえました。
   いつもなら、すぐ食べてしまうのですが、今日はひとつえらそうなりくつをつけてから、食べようと思いました。
   そこで、
  「おい、ニワトリ、おまえは悪いやつだ。朝のくらいうちから大きな声でないて、人間たちのねむりをさまたげるのだからな」
  と、いいました。
   するとニワトリは、
  「そんなことはありません。はんたいに、わたしは人間の役に立っているのですよ。ねぼうして仕事におくれないように、おこしてあげているのですから」
   いいやられたネコは、別のりくつを考えて、
  「おまえは、自分の母親や女兄弟にタマゴをうませるような、けしからんやつだ」
  と、いいました。
   ニワトリは、
  「それだって、ご主人のためなのです。そのおかげで、タマゴがたくさんとれるんですもの」
   ネコは、またやりこめられました。
   しばらく考えましたが、よい考えがうかばないので、いきなりどなりました。
  「やいやい、えらそうなことばかりいってもダメだぞ。おまえがいくらもったいつけても、おれは腹ぺこなんだから」
   そして、ニワトリを食べてしまいました。
  
   悪い人が悪だくみを思いついたら、たとえ、はじめはりこうそうなことをいっていても、さいごには正体をあらわして、平気で悪いことをするようになるものだと、このお話しはおしえています。
おしまい