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12月14日のイソップ童話
  
  
  
ブタとヒツジ
   一匹のブタがヒツジの群れにまじって、いつもいっしょに草を食べていました。
   ある日のこと、ヒツジ飼いがこのブタをつかまえました。
   ブタは、
  「ブー、ブー」
  と、なきわめいて、じたばたしました。
   ヒツジたちはそれを見て、
  「おい、うるさいぞ。おとなしくしろよ。おれたちだって、しょっちゅうつかまえられるけれど、なきわめいたりなんかしないぞ」
  と、しかりつけました。
   するとブタがいうには、
  「だって、同じつかまえられるにしても、あなたがたとぼくとでは、わけがちがいますよ。人間があなたがたをつかまえるのは、羊毛や乳をとるためだけれど、ぼくをつかまえるのは、肉にするためですもの」
  
   このお話しは、お金や持ち物ではなくて、命をとられそうな目にあった人が泣きわめくのは、あたりまえだということをたとえています。
おしまい