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福娘童話集 > お薬童話 > 肌荒れをやわらげる お薬童話
ふたりゆうれい
むかしむかし、あるところに、ゆうれいが出るとうわさされるお寺がありました。
そのゆうれいは二人で、お互いに話し合うというのです。
「そんなばかな。ゆうれいが二人で、おしゃべりするなど。・・・よし、おれが、この目でたしかめてやる」
うわさをきいて、きのつよいひとりの男が、おはかにしのんでいきました。
やがて、草木もねむる、うし三つどき(午前二時ごろ)です。
ヒソヒソッ、ヒソヒソヒソッ。
どこからか、話しごえがきこえてきました。
男がこえをたよりに、はか石のあいだをぬっていくと、小さなはか石のそばで、男のゆうれいと女のゆうれいが、手をとりあって、ことばをかわしています。
男のゆうれいは、まだ三十まえですが、女のゆうれいは、六十すぎのおばあさんでした。
話のようすからすると、ふたりは夫婦(ふうふ)のようです。
「やっぱり、うわさどおりだ。しかし、夫婦にしては、こんなに年がちがうのはおかしい」
そこで気の強い男は、次の朝、お寺の和尚(おしょう→詳細)さんにわけをはなして、おはかにきてもらいました。
「ゆうれいは、このあたりにいたのだね。それはきっと、このはかから現れたのだろう」
和尚さんは、小さなはか石のまえで足を止めました。
「ここには、四十年近く前に、若い奥さんを残して死んだ男がとむらってあった。残された奥さんは長生きをしたが、このあいだ、六十をすぎて死んだので、いっしょにとむらってやったんだ。だが、おまいりに来てくれる人もいないので、あの世へゆけんのじゃろうて」
和尚さんの話に、二人のゆうれいの年の違うわけがわかりました。
「死んでから、ゆうれいになっても、なかむつまじくするなんて、うらやましい。・・・おれも、いい嫁さんをみつけなくちゃ」
きのつよい男は、和尚さんにたのんで、ねんごろにおきょうをあげてもらいました。
おしまい
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