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9月5日の日本の昔話
うわばみたいじ
むかしむかし、きっちょむさん(→詳細)と言う、とてもゆかいな人がいました。
ある日のこと、きっちょむさんは、畑でとれた小麦(こむぎ)を、村はずれの水車(すいしゃ)ごやにもっていって、粉にしてもらいました。
「これで、うまいうどんでもつくって、たべよう」
ゴキゲンに家に帰っていると、ササヤブから、いきなりうわばみ(→だいじゃ)があらわれました。
大きな口をあけて、きっちょむさんをのみこむつもりです。
「うへぇっ!」
きっちょむさんがにげだすと、うわばみがおいかけてきました。
さいわい、マツの木があったので、きっちょむさんはよじのぼりましたが、うわばみはなおもしっこくおいかけてきて、大きな口をアングリとあけました。
「こりゃあ、もうだめだ。わたしのいのちも、とうとうこれまで。なむあみだぶつ」
そのときです。
ガタガタとふるえていたきっちょむさんのわきのしたから、だいじにかかえていた粉のつつみがおちて、うわばみの口にスッポリ入りました。
ビックリしたうわばみのキバで、粉のつつみがやぶれたからたまりません。
ゴホッ、ゴホホホゴホ。
ハックショーン、ゴホゴホ、ハックショーン。
うわばみは、せきとくしゃみをしているうちに、粉をのどにつまらせて、バッタリと死んでしまいました。
「粉のつつみひとつで、うわばみをたいじするとは、さすがはきっちょむさんじゃ」
きっちょむさんは、村のみんなから大いにほめられたということです。
逃げていただけなのにねえ。
おしまい