福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 11月の江戸小話 > よいお手本
11月24日の小話
よいお手本
雨あがりのどろんこ道を、父親とむすこが歩いておりました。
父親が、むすこに、
「おい、むすこや。道がぬかるから、ころばないように気をつけて歩くのだぞ」
と、いったとたんに、自分の方が足をすべらせて、ペタリとしりもちをついてしまったので、おろしたばかりの新しい着物が、ドロだらけになってしまいました。
父親は、半分ベソをかきながら、
「よく見たか? 気をつけて歩かないと、こうなるのだぞ」
おしまい