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おりこうハンス
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むかしむかし、ハンスという、ちょっとあたまのよわい若者がいました。
ある日、ハンスが出かけようとするので、お母さんがいいました。
「ハンスや、どこへ行くんだい?」
「グレーテルんとこ」
「ああ、こんどお嫁にくる娘だね。うまくおやりよ」
「大丈夫さ。じゃあな、おっかあ」
「がんばってね、ハンス」
ハンスはグレーテルの家へ行きました。
グレーテルはハンスに、何かいいものを持ってきてくれたかと聞きました。
「何もねえよ。それより、何かくれるもんないか?」
ハンスは、針を一本もらいました。
それを持ちかえる途中、干し草を積んだ車に刺(さ)して、その車の後について家に帰りました。
ハンスは、お母さんにそのことをいうと、
「ばかだね、ハンス。針は袖(そで)に刺しておくものだよ」
「今度はうまくやるさ」
またハンスは、グレーテルの家へ行きました。
今度は、ナイフをくれました。
ハンスは帰り道、ナイフを袖に刺して帰りました。
そのために、服がボロボロになりました。
「ばかだね、ハンス。ナイフは袋(ふくろ)へ入れておくものさ」
またハンスは、グレーテルの家へ行きました。
今度は、ヤギをくれました。
ハンスはヤギを袋に入れて、持ち帰りました。
袋に入れられたヤギは、息が出来ずに死んでしまいました。
「ばかだね、ハンス。ヤギは綱(つな)へつなぐものだよ」
またハンスはグレーテルの家へ行き、今度はブタの脂身(あぶらみ)をもらいました。
ハンスはそれを、綱につないで帰ります。
そのため、後ろからきたイヌたちに食べられてしまいました。
「ばかだね、ハンス。脂身は頭に乗っけるんだよ」
次にハンスは、グレーテルからもらった子ウシを頭に乗せました。
子ウシはハンスの頭をふみつけると、どこかへ逃げてしまいました。
「ばかだね、ハンス。子ウシは首を綱でしばって、飼葉(かいば)の前に立たせておくものだよ」
今度はグレーテル自身が、ハンスの家にもらわれることになりました。
ハンスはグレーテルを飼葉の前に立たせると、首を綱でしばって、柱にくくりつけてしまいました。
「ばかだね、ハンス。あの娘にはやさしい目を投げつけてやるものさ」
ハンスは家畜小屋(かちくごや)に行って、ありったけの子ウシやヒツジの目玉をくり抜きました。
そしてその目玉を、立たされたままでいるグレーテルの顔にたたきつけました。
グレーテルは腹を立てて逃げだすと、ハンスのお嫁さんになることを取り消してしまいました。
・・・なんなんでしょう、このお話しは。
おしまい
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