肌荒れをやわらげる お薬童話 福娘童話集
 


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月の夜の訪問者

月の夜の訪問者
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 むかしむかし、あるところに、なかのいい若者と娘がいました。
 二人は日がしずむと、村はずれの川辺であっては、将来(しょうらい)のことをかたりあいました。
 ある日、若者が仕事で旅にでることになったので、娘にしばらくの別れをつげて、自分の金の指輪(ゆびわ)をはずして、娘の薬指にはめてあげました。
「かえるときまで、これはきみがもっていてくれないか」
「うん。じゃあ、これを」
 娘も、自分の指から銅の指輪をぬきとり、若者の小指にはめました。
「きっと、秋の収穫(しゅうかく)のころまでには、かえってくるからね」
 若者は、そう約束をしました。
 夏のあいだ、娘は毎日のように、若者とあっていた川辺にやってきては、シラカバの木にもたれ、たのしかった日びをおもいだしていました。
 ところが秋になっても、若者は村にかえってきません。
 金色の葉はすぐにおちてしまいましたが、それでも若者からは、なんのたよりもありませんでした。
 村に初雪(はつゆき)がふった日、娘は友だちにさそわれて、ひと晩とまりにいきました。
 ほかに友だちも二人きていて、四人でいっしょに糸をつむいだり、はなしをしたりして、とてもにぎやかに夜をすごしていました。
 歌をうたったり、お菓子をたべたりしていましたが、そのうち話がはずんで、自分たちの恋人の話になりました。
 そして、旅にでた若者をまちわびている娘がいいました。
「ねえみて、この金の指輪。あの人がわかれるときに、わたしの指にはめてくれたのよ。これをはずせる人なんて、この世にたった一人だけ、あの人しかいないのよ」
「でも、そんなにあなたをおもっているのなら、かえってきてもいいころなのにね。どうしたの? だいじなあなたのその人は」
と、友だちの一人がいいました。
「・・・・・・」
 外は朝からの雪がふりつもって、あたりはまっ白です。
 ソリのスズの音が、とおくからちかづいてきては、またとおざかっていきました。
「あのソリは、なんだろうね?」
「うちにくるかとおもうと、またいっちゃうし」
 四人で糸をつむいだり、外をながめたりしていると、ちょうどま夜中になったころ、スズの音が家のそばまできてピタリとやみました。
「ねえ。さっきのソリがきたよ」
 一人の娘がそういったとき、とびらをたたくものがいました。
 こんな夜ふけにだれだろうと、みんなでおそるおそるまどの外をのぞいてみると。
「黒い外とうをきているわ」
「わかい男の人のようよ」
「どれ、わたしにも見せて」
 そして娘がよくみると、旅にでた自分の恋人がたっていたのです。
「ごらんなさい! かえってきたのよ、わたしのいい人が!」
 娘はよろこんでとびらをあけると、若者にとびつきました。
「まあ! すっかりひえてるじゃないの。こんなにつめたくなって。さあ、暖炉(だんろ)にあたって」
と、手をとって中にいれようとしましたが、若者は、火のそばにはいきませんでした。
「じゃあ、わたしといっしょに家にかえろう」
 すると、娘の友だちは、
「こんな夜ふけだから、あしたにしたら」
と、ひきとめましたが、でも娘は、
「うん。でも、二人で家に帰るわ。糸つむぎのつづきは、またあしたにしましょう」
と、友だちにさよならをつげて、若者のソリに乗りました。
 娘が若者にかたをよせたとき、若者のからだがあんまりつめたいのでビックリしましたが、若者の小指に銅の指輪をはめているので、ニッコリとほほえみました。
「さあ、あなたの家につれていって」
 やがて雪がやんで、月の光があたりを銀色にてらしました。
 二人は月の夜道をよりそって、ソリをはしらせました。
 でもそれっきり、二人のすがたをみたものは、だれ一人ありませんでした。

おしまい

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