ヒステリー・癇癪をやわらげる お薬童話 福娘童話集
 


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とびっこ

とびっこ
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 むかしむかし、ノミと、バッタと、おもちゃのカエルとが、だれがたかくとべるかということで、じまんしあいました。
「それは、ぼくがたかくとべるさ」
と、ノミがいいました。
「いやいや、ぼくのほうが、たかくとべるさ」
と、バッタはまけずにいいました。
「あなたがたより、ぼくのほうがたかくとべますよ」
 おもちゃのカエルも、そういいました。
「ぼくが、たかくとべる」
「いや、ぼくだ」
と、みんながいうので、きりがありません。
「それなら、だれが一番たかくとべるか、とびっこをしてみようじゃないか」
と、いうことにきまりました。
「どうせなら、できるだけ大ぜいの人をよんで、見てもらったほうがいい」
と、ノミがいいますと、
「ああ、いいとも」
と、バッタもカエルもさんせいしました。
 この話しを、王さまもおききになって、
「わしも、見にいこう」
と、いったのです。
 そればかりか、
「せっかくたかくとんでも、ほうびがなくてはつまるまい。一番たかくとんだものに、わしの娘をお嫁さんにあげるとしよう」
と、いうことになったのです。
 さあ、とびっこきょうそうは、たいへんなひょうばんになりました。
 その日になると、見物人がたくさんあつまりました。
 まっさきにでてきたのは、ノミでした。
 きどったようすで、見物人にむかっておじぎをしています。
 つぎに、バッタがでました。
 おしゃれな草色の服をきて、とてもきれいでした。
 さいごには、カエルがでてきました。
 カエルはとびでた目玉を、クルクルクルクルまわします。
 いよいよ、とびっこがはじまりました。
 ところがノミが、あんまりたかくとんだので、だれもそのいくさきがわからなくなってしまいました。
 それで、
「とばなかったのじゃないか?」
 そんなことを、いうものもありました。
 そしてバッタは、王さまの顔にとびつきました。
「ぶれい者!」
 王さまは、おこってしまいました。
 おもちゃのカエルはピョンとはねて、お姫さまのひざにあがりました。
「キャアーー!」
 お姫さまはおどろいてたちあがったので、ひざのカエルはコロリところげおちました。
 これでとびっこは、しょうぶなしでおしまいになりました。

おしまい

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