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      2009年 3月31日の新作昔話 
        
        
       
赤ん坊と泥棒(どろぼう) 
岡山県の民話 → 岡山県情報 
       むかしむかし、泥棒(どろぼう)が、ある家の天井裏に忍び込みました。 
         下を見ると、お父さんとお母さんと赤ん坊がねむっています。 
         お父さんもお母さんも、ぐっすりです。 
        「しめしめ、よくねむっているぞ」 
         泥棒が安心して下へ降りようとすると、まん中にねていた赤ん坊がぱっちり目を開けました。 
        「しまった」 
         泥棒は、あわてて天井裏へもどりました。 
         すると赤ん坊が、今にも泣き出しそうな顔でこっちを見ています。 
        「弱ったぞ。こんなところで泣かれては大変だ」 
         泥棒は、ペロリと舌を出しました。 
         そのとたん、赤ん坊はにこっと笑いました。 
        「よしよし、いい子だ」 
         泥棒は口をとがらせて、ひょっとこのお面みたいな顔をしました。 
         赤ん坊はそれを見て、また笑いました。 
        「あはは。なんてかわいい赤ん坊だ」 
         泥棒はこの赤ん坊がすっかり気に入って、手を動かしたり、おもしろい顔をして見せたりと、仕事も忘れて赤ん坊をあやしていました。 
         そのうちに一番どりが鳴いて、あたりが明るくなってきました。 
        「しまった。夜があけてしまう」 
       泥棒は赤ん坊に手を振ると、何にも取らずに逃げていきました。 
      おしまい 
         
          
         
        
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