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      2023年3月20日の新作昔話 
          
          
        投稿者 「カボスひろし」  大分県産カボスひろしTV 
         
星を落とす 
吉四六(きっちょむ)さん → 吉四六さんについて 
 
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先 
 
投稿者 「カボスひろし」  大分県産カボスひろしTV 
 
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投稿者 「ちょこもち」  ちょこもち 
      
       
      
      
       むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。 
        
        ある日の事、吉四六さんが、村人たちに向かって言いました。 
        
       「今夜、わたしは空の星をほうきではいて落とすから、みんなで拾いに来て下さいな」 
        「何だって? 空の星をほうきで落とす。はん。馬鹿馬鹿しい事言うな」 
        「じゃあ、来なくてもいいですよ。わたしが一人で落とすから。あの空の星はみんな金で出来ているから、わたし一人で拾ってお金持ちになるから。後でうらやましがったって知らないから」 
         そう言う吉四六さんの言葉に、村人たちもついつい欲が出て、 
        
       「それじゃあ、試しに行ってみようか?」 
        「そうだな。万が一と言う事があるし」 
        と、夜になると吉四六さんの家の周りに集まってきました。 
         しかし、肝心の吉四六さんがどこにもいません。 
        
       「おかしいな、吉四六さんはどこへ行ったのだろう?」 
        「おーい。吉四六さーん!」 
         誰かが呼んでみると、 
        「おーい。ここだ」 
        と、頭の上で答える声がします。 
         見てみると吉四六さんが屋根の上に登っていて、手に長い竹ぼうきを持っていました。 
        
       「吉四六さん、星はまだ落ちないのかい?」 
        「まあ、そんなに急ぐもんじゃあないよ。もう少し、待ちなさい」 
         そう言って吉四六さんは、空を見上げました。 
        
        暗い空には、キラキラとたくさんの星が光っています。 
        「ところで吉四六さん。あんな高い空まで、ほうきが届くのかい?」 
         みんなが笑いながら言うと、吉四六さんはまじめな顔で、 
        「届くとも、今にきっと、金の星をはたき落としてやるからな」 
        と、言いながら、ほうきを振り回しましたが、もちろん、星は一つも落ちて来ません。 
        「あれ、おかしいな?」 
        
        吉四六さんは、少し慌てました。 
        「ほれ、ほれ、落ちろ! はやく落ちろ! すぐに落ちろ!」 
         怒鳴りながらほうきを振り回す吉四六さんに、村人の一人が言いました。 
        「だから駄目だって。もう止めなよ。屋根から落ちたら怪我をするよ」 
        「何、そう簡単にあきらめるものか。見ていろ!」 
         吉四六さんは、むきになってほうきを振り回しました。 
         するとその時、空の星が1つ、スーッと流れて、どこかへ落ちていきました。 
        
        それは、流れ星です。 
         でも、吉四六さんは、 
        「よし、やったぞ!」 
        と、大きな声で大喜びです。 
        
       「そら、そら、星が落ちただろう。わたしがほうきで落としたんだ。みんな早く行って、拾っておいで」  
      おしまい 
           
            
         
           
          
        
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