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2023年5月8日の新作昔話

イラスト 01 (イラストタッチでイラスト大)無断転載禁止
ウシの鼻ぐり
投稿者 「カボスひろし」  大分県産カボスひろしTV

ウシの鼻ぐり
吉四六(きっちょむ)さん → 吉四六さんについて

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「カボスひろし」  大分県産カボスひろしTV

♪音声配信(html5)
音声 スタヂオせんむ

 むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
 吉四六さんは、あまりお金持ちではありませんが、お金がなくなってくると、ヒョイと良い知恵が浮かんでくるのです。

ウシの鼻ぐり

 ある日の事、吉四六さんは畑仕事をしながら、町へ行く通りがかりの人を呼び止めては、

ウシの鼻ぐり

「すまんが、町の荒物屋で、ウシの鼻ぐりを買って来てほしいんじゃ。数は、いくつあってもいい。値段は、なんぼ高くてもかまわん」
と、変な事を頼みました。
 みんなが引き受けてくれましたが、帰って来て、
「あいにく、売り切れとるそうじゃ。ウシの鼻につなを通す、鼻ぐりの輪など、めったに売れるもんではないから、普段は置いてないそうじゃ」
「おれもずいぶん探したが、一つもなかった。『今日は何人も、鼻ぐりを欲しいと言う人が来た。こんな事なら、たくさん仕入れておけばよかった』と、くやしがっとったわい」
と、口々に言いました。

ウシの鼻ぐり

「それはどうも、すまん事じゃった」

ウシの鼻ぐり

 吉四六さんはガッカリするどころか、喜びながら家に帰りました。

 さて次の朝、吉四六さんは作って貯めておいたウシの鼻ぐりを、町へかついで行って、
「ウシの鼻ぐりは、いりませんか?」

ウシの鼻ぐり

 町中の荒物屋を回りました。
「これは良いところに来てくれた。いくつでも置いていってくれ」

ウシの鼻ぐり

 昨日、もうけそこなっているので、どこの荒物屋でも、喜んで仕入れてくれました。
「さあ、これで、昨日のお客が来てくれれば、ひともうけ出来るぞ」

ウシの鼻ぐり

 荒物屋は、もうけのそろばんをはじきましたが、ウシの鼻ぐりは、さっぱり売れません。

ウシの鼻ぐり

 もうかったのは、吉四六さんだけでした。

おしまい

ウシのはなぐり

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