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第263話

不思議の国のアリス 第13/20話 ♪バラの花を、赤くぬろうよ

不思議の国のアリス
イラスト:ジョン・テニエル

♪バラの花を、赤くぬろうよ

 再び森の中へ入ったアリスは、一本の木にドアがついていて、中へ入れるようになっているのに気がつきました。
「木が入口だなんて、ずいぶんと変わっているわね。
 でも今日は本当に変わった事ばかりだから、気にしてはだめね。
 さあ、入ってみましょう」
 アリスは木についているドアを開けて、中へ入りました。
 するとそこはアリスが散歩をしたいと思っていた、あのすてきなお庭ではありませんか。
「まあ、ようやくここに来られたわ。美しい花ぞのに、すずしいふん水。とってもすてきだわ」
 アリスが花ぞのをながめながらふんの水で手を冷やしていると、どこからか男の人の歌声が聞こえてきます。
♪バラの花を、赤くぬろうよ
♪急いで、ペンキで、うまくぬろうよ
♪バラの花を、赤くぬろうよ
「何の歌だろう?」
 気になったアリスは、歌声の方へ行ってみました。
 するとトランプ姿の三人が、赤いペンキで白いバラを赤くぬっていたのです。
 そのトランプ姿の三人は、クラブのエースとクラブの2とクラブの3でした。
 一本のバラの木の花をぬりおえた三人は、別の木のバラをぬりはじめました。
♪バラの花を、赤くぬろうよ
♪急いで、ペンキで、うまくぬろうよ
♪バラの花を、赤くぬろうよ
 たのしい歌だったので、ついアリスも歌いながらたずねました。
♪どうして、ぬるのよ
♪白いバラを
 それを聞いた三人は、バラをぬる手を止めてアリスの方を見ました。
 アリスは三人に、もう一度たずねました。
「あの、せっかくきれいな白いバラが咲いているのに、どうして赤くぬるのですか?」
 三人はお互いの顔を見合わせると、クラブの3が答えました。
「どうしてかって? それは、わしらは間違って白いバラを植えてしまったからさ」
「白いバラだと、どうしていけないの?」
 アリスの言葉に、三人は歌でこたえました。
♪女王さまは、赤がお好き
♪白バラ、植えたら
♪殺されちゃう
「まあ、それは大変」
「そうだろう」
♪だから、こうして
♪赤くぬるのさ
 そう言って、三人はまたバラをぬりはじめました。
「じゃあ、あたしも手伝ってあげる」
 アリスは赤いペンキとハケを持つと、三人と一緒に歌いながら白いバラを赤くぬりはじめました。
♪バラの花を、赤くぬろうよ
♪急いで、ペンキで、うまくぬろうよ
♪バラの花を、赤くぬろうよ
 その時、庭中にラッパの音が鳴り響きました。
 それを聞いた三人は、飛び上がってびっくりしました。
 クラブの3が、叫びます。
「大変だ! 女王が来るぞ! 急いでペンキを隠すんだ!」
 ペンキを隠した三人は、たちまち地面にはいつくばりました。
「女王さま? まあ、見てみたいわ」
 背伸びをするアリスに、クラブの3が言います。
「だめだよ。ぼくたちと同じように頭を下げないと、大変なことになるよ」
 アリスは仕方なく、三人と同じように地面にはいつくばりました。

おわり

続きは第14話、「ハートの女王」

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不思議の国のアリス

不思議の国のアリス
イラスト 「愛ちん(夢宮愛)」  運営サイト 「夢見る小さな部屋」

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