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百物語 第110話

おわかれにきたむすめ

おわかれにきたむすめ

 むかしむかし、ある村に、ひとりぐらしのおばあさんがいました。
 むすめをとおくの町へお嫁にやってしまってから、長いことひとりぐらしです。
「このあいだの、むすめの手紙では、からだがおもわしくないといっていたが、いまごろ、どうしておるかいのう?」
 あるばん、おばあさんが心配していると、いつかえってきたのか、むすめがボンヤリとたっていました。
「おや。よくかえったな。さあ、おあがり」
 すると、むすめはスーッと、ざしきにあがってきて、おばあさんにおじぎをしました。
 ニコリともしないし、ひとこともしゃべりません。
 むすめはぶつだんに手をあわせると、まもなく、スーッと、きえてしまいました。
「ふしぎなこともあるもんじゃ。むすめがきていたあの着物は、嫁にやるときにもたせてやったもの。むすめにまちがいないのに、どうして、ひとこともいわないで、かえってしまったんじゃろ」
 さて、つぎの日。
 おばあさんのところに、町から使いがきました。
 むすめがきのうのばん、いきをひきとったというのです。
「それは、何時ごろのことで、むすめが死んだときに、これこれこういうがらの着物をきておらなかったじゃろか?」
 おばあさんがきくと、
「はい。そのとおりですが、どうして、知っているんです?」
 つかいの男がたずねかえしました。
「やっぱり、あれはむすめがゆうれいになって、おわかれにきてくれたんだね」
 おばあさんからわけをきいた男は、くびをひねりながら、かえっていきました。

おしまい

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