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百物語 第219話

やまんばと名刀

やまんばと名刀
山形県の民話山形県情報

 むかしむかし、ある村に、隼助(はやすけ)という若者が住んでいました。
 住む家も小さい貧乏な若者でしたが、先祖(せんぞ)から代々伝わる家宝(かほう)の宝は、とても立派な名刀(めいとう)でした。
 隼助の先祖が立派な手がらを立てて、お殿さまからほうびにもらった物だそうです。
 ある日の事、隼助が山に山ブドウやアケビを取りに出かけると、アケビのつるで編(あ)んだ、大きな大きなカゴをひろいました。
「おお、これはちょうどいい」
 隼助はその大きなカゴに、ブドウやアケビをたくさん入れて山を下りました。
 さて、その夜の事。
 山の方から、
「ドシン! ドシン!」
と、いう、地ひびきが家に近づいたかと思うと、家の戸が、
「ドンドンドン! ドンドンドン!」
と、たたかれ、そしてカミナリのような大声で、
「隼助! わしのぞうりを返せ! わしのぞうりを返せ!」
と、さけばれたのです。
 隼助は、ブルブルとふるえながら、
「おっ、おら、人のぞうりなぞ知らねえぞ」
と、いうと、
「うそをつくな! おらの干しておいたぞうりの片方を、山から持って行ったでねえか。返せ!」
「何んだか知らねえが、山でひろったものなら家の裏にほしてあるから、持って行け」
と、いうと、それっきり静かになりました。
 翌朝、隼助が外にでて見ると、大きな足あとが山まで続いています。
 その大きな足あとは、山でひろった大きなカゴと、同じくらいの大きさでした。
「この大きな足あとは、きっと山姥(やまんば)だ! そしてあの大きなカゴは、やまんばのぞうりだったのか」
 隼助が山姥におそわれなかったのは、山姥が家宝の名刀におそれをなして、家に入る事が出来なかったからといわれています。

おしまい

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