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百物語 第240話

山へ入らない日

山へ入らない日
福島県の民話福島県情報

 むかしむかし、ある深い山に入って猟(りょう)をしている、一人の猟師(りょうし)がいました。
 この猟師の猟のやり方はほかの猟師たちとはちがっていて、まず、山奥の高い木に見張りのやぐらをつくって、そこで一夜をあかします。
 そして夜明けにエサをさがしにやってくるシカを、シカ寄せの笛(ふえ)をふいておびき寄せて、やぐらの上から鉄砲でうつというものです。
 ある日の夜明け、猟師はきのうからのぼっているやぐらの上で目をさますと、さっそくシカ寄せの笛をふきながら、あたりを注意ぶかくうかがっていました。
 するとすぐ目の前のやぶの中で、大きな物音がしました。
 目の前の草木が、風もないのにガサガサとゆれています。
 猟師はかたわらに置いてある鉄砲を手にして、動く草木をジッと見つめていました。
 するとやぶの中から出てきたのは、おカマのふたほどもある大きな女の人の顔で、みだれた髪は地面までたれさがっています。
「バ、バ、バケモノじゃ!」
 ビックリした猟師は思わず、鉄砲を木の下の草むらの中へ落としてしまいました。
 女のバケモノは、ニタニタと気味悪く笑っています。
 猟師は尻もちをついたまま立ちあがることもできませんでしたが、幸いなことにバケモノはそれ以上近づかず、落とした鉄砲をうばおうともしません。
 しばらく猟師を見つめながら笑っていると、やぶの中へ姿を消してしまいました。
 猟師はやぐらの上からおりると、鉄砲の事も忘れて逃げだしました。
 走って、走って、やっと家についたとたん、安心したのかそのまま倒れて気を失ってしまいました。
 数日後、正気をとりもどした猟師は、心配して集まっていた近所の人たちに山奥で出会ったバケモノの話をしました。
 それを聞いていた、一人の老人が言いました。
「なるほどの。だがそれは、お前があまりにも殺生(せっしょう)をするからだ。命があったからよかったものの、二度とそんな目にあいたくなければ、殺生をやめる事じゃな」
 猟師はそれっきり、猟師をやめてしまいました。
 この事があってから、猟師の村では十月の十七日を山神さまの祭り日として、ぜったいに山に入らない事にしました。
 もしもこの日に山へ入ると、かならずバケモノに出会うと言われています。

おしまい

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