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001話

雪女

ゆきおんな

♪にほんごのろうどく
TIME 8:15   ろうどく Smile STATION


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 むかしむかし の、さむいさむい きたぐに での おはなし です。

 あるところに、しげさく(もさく) と おのきち と いう きこり の おやこ が すんでいました。

 この おやこ、やま が すっぽり ゆき に つつまれるころ に なると、てっぽう を もって りょうに でかけていくのです。

 あるひ の こと、おやこ は いつものように ゆきやま へ はいっていきましたが、いつのまにか そら は くろぐもに おおわれて、ふぶき と なりました。

 ふたり は なんとか、きこりごや を みつけました。

「こんやは ここで とまる より、しかたあるめえ」

「うん だなあ」

 ちろちろ と もえる いろり の ひ に あたりながら、ふたり は ひるま の つれからか、すぐにねむりこんで しまいました。

 かぜ の いきおい で と が がたん と ひらき、ゆき が まいこんできます。

 そして、いろり の ひ が ふっと きえました。

「う〜、さむい!」

 あまり の さむさに め を さました おのきち は、そのとき、ひとかげ を みたのです。

「だれじゃ、そこに おるのは?」

 そこに すがた を あらわしたのは、わかくうつしい おんなのひと でした。

「ゆきおんな!」

 ゆきおんな は ねむっている しげさく(もさく) の そば に たつと、くち から しろい いき を はきました。

 しげさく(もさく) の かお に しろいいき が かかると、しげさく(もさく) の からだ は だんだんと しろく かわっていきます。

 そして ねむったまま、しずかに いき を ひきとってしまいました。

 ゆきおんな は、こんどは おのきち の ほうへと ちかづいてきます。

「たっ、たすけてくれー!」

 ひっしで にげようとする おのきち に、なぜか ゆきおんな は やさしく いいました。

「そなた は まだ わかわかしく、いのち が かがやいています。

 のぞみどおり、たすけてあげましょう。

 でも、こんや の こと を もしも だれか に はなしたら、そのときは、そなた の うつくしい いのち は おわってしまいましょう」

 そういうと ゆきおんな は、ふりしきる ゆき の なか に すいこまれるよう に きえてしまいました。

 おのきち は、そのまま き を うしってしまいました。

 やがて あさ に なり め が さめた おのきち は、ちち の しげさく(もさく) が こごえじんでいるの を みつけたのです。


 それから、いちねん が たちました。

 ある おおあめ の ひ、おのきち の いえ の まえ に ひとり の おんなのひと が たっていました。

「あめ で、こまって おいでじゃろう」

 きだて の いい おのきち は、おんなのひと を いえ に いれてやりました。

 おんなのひと は、おゆき と いう な でした。

 おのきち と おゆき は ふうふ に なり、かわいいこども にも めぐまれて、それはそれは しあわせ でした。

 けれど、ちょっと しんぱい なのは、あついひざし を うけると、おゆき は ふらふら と たおれてしまうのです。

 でも、やさしい おのきち は、そんな おゆき を しっかりたすけて、なかよく くらしていました。



 そんな あるひ、はりしごと を している おゆき の よこがお を みて、おのきち は ふっと とおいひ の こと を おもいだしたのです。

 「のう、おゆき。わしは いぜんに、おまえ の ように うつくしい おなご を みたこと が ある。

 おまえ と、そっくりじゃった。

 やまで、ふぶきに あっての。

 そのときじゃ、あれは たしか、ゆきおんな」

 すると とつぜん、おゆき が かなしそうに いいました。

「あなた、とうとう はなしてしまったのね。あれほど やくそくしたのに」

「どうしたんだ、おゆき?」

 おゆき の きものは、いつのまにか しろく かわっています。

 ゆきおんな で ある おゆき は、あのよる の ことを はなされてしまったので、もう にんげん で いることが できないのです。

「あなた の ことは、いつまでも わすれません。

 とても、しあわせ でした。

 こどもを、おねがいしますよ。

 ・・・では、さようなら」

 そのとき、と が ばたん と ひらいて、つめたいかぜ が ふきこんできました。

 そして、おゆき の すがたは、きえたのです。

おしまい

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