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8月9日の日本の昔話
竹生島(ちくぶしま)と鯰(なまず)
竹生島摎塘虱
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、琵琶湖(びわこ)の北部にある竹生島(ちくぶしま)の辯才さまは、美しい満月の晩になると琵琶湖の魚たちを集めて歌と踊りの会を開いていました。
頭擺頭擺,琵琶湖北片有一個筑生島个辯才美女,見到滿月暗晡佢就會摎琵琶湖个魚仔聚集起來,舉辦舞會,共下唱歌、跳舞。
辯才さまのかなでる琵琶の音に合わせて上手に歌ったり踊ったりした魚には、素晴らしいごほうびが出るのです。
魚仔做得配合辯才美女演奏的琵琶聲唱歌、跳舞,又有當好个獎品。
さて、一番最初に現れたアユたちは、月明かりの中で銀色の姿をキラキラさせるだけで歌も踊りもしません。
等先出來个係香魚(ayu),在光華華个月光下背,現出晟眼銀光,並無唱歌、跳舞。
アユは自分の姿がきれいなので、辯才さまはそれだけでごほうびをくれるだろうと思ったのです。
香魚因為自家身裝靚,認為辯才美女會分佢獎賞。
二番目に現れたフナたちは、久しぶりに仲間が集まったので、おしゃべりばかりしていました。
第二出現个係鯽仔(funa) ,因為盡久無見面,所以佢兜斯打嘴鼓定定。
三番目のコイたちもパクパクさせているだけで、歌も踊りもちっとも上手ではありません。
第三出現个鯉魚斯嘴仔擘阿擘定,一點都無會唱歌、跳舞。
がっかりした辯才さまは、琵琶をひくのをやめて言いました。
當失望个辯才美女停止演奏琵琶,講:
「誰か、もっと上手なものはおらぬのか?」
「還有人無?有較好个表演無?」
すると琵琶湖の底から、黒いものがゴソゴソと顔を出しました。
過後,對琵琶湖湖底,一隻團烏疏疏个東西偷偷走出來。
ナマズたちです。
係塘虱。
ナマズたちは、辯才さまに言いました。
塘虱摎辯才美女講:
「あの、わしらにもやらせてください」
「請分𠊎兜來試看。」
それを聞いて、ほかの魚たちは大笑いです。
一聽著,其他个魚仔就哈哈大笑。
「あはははは。あんなかっこうで、どうやって踊るんだい?」
「啊哈哈哈。該種形投愛仰般跳舞?」
「そうさ、口も大きすぎて、歌なんか歌えやしないよ」
「係哦,嘴恁大無法度唱歌仔。」
けれど辯才さまはナマズたちにうなずくと、また琵琶を弾き始めました。
毋過,辯才美女點點頭同意塘虱,又開始彈琵琶。
ナマズの大将が、はりきってみんなに言いました。
塘虱頭仔精神飽滿講:
「さあ、みんな、辯才さまに、今まで練習してきた歌と踊りを見ていただこう」
「這下,大家,到目前為止練習過个歌曲摎舞蹈共下表演分辯才美女看。」
「おーっ!」
「哦~!」
ナマズたちは琵琶の音に合わせて、歌いながら踊り始めました。
塘虱開始配合琵琶聲音唱歌、跳舞。
♪ズンドコ ズンドコ
♪ zundoko zundoko
♪ズイズイ ズイ
♪ zuizui zui
♪ズンドコ ズンドコ
♪ zundoko zundoko
♪ズイズイ ズイ
♪ zuizui zui
歌も踊りも上手ではありませんが、見ているとなんだか楽しくなってきます。
並無幾會唱歌仔、跳舞,但係看著仰會恁快樂。
辯才さまは、にこにこ笑って琵琶を弾きました。
辯才美女笑咪咪彈奏琵琶。
そしてナマズの歌と踊りが終わると、辯才さまはナマズたちに言いました。
等塘虱个歌舞結束後,辯才美女摎塘虱講:
「お前たちの歌と踊りのおかげで、今日は本当に楽しい夜でした。ほうびは、お前たちにあげましょう」
「感謝你兜个歌舞,暗晡夜實在係非常快樂个一暗晡。𠊎愛分你兜獎勵。」
辯才さまから今まで見たこともないごちそうや宝石をもらって、ナマズたちは大喜びです。
塘虱在辯才美女收著從生人毋識看過个宴席摎珠寶、該兜塘虱歡喜壢天。
「よし、もっともっと練習して、今度も辯才さまにほめていただこう」
「好,俚多多練習,下二擺又乜愛得著辯才美女个獎賞。」
次の満月の夜、辯才さまが琵琶をかなでると、琵琶湖中のナマズたちが集まって歌いました。
在下一隻滿月暗晡,辯才美女演奏琵琶時節,琵琶湖个塘虱聚集做下唱歌仔。
♪ズンドコ ズンドコ
zundoko zundoko
♪ズイズイ ズイ
zuizui zui
♪ズンドコ ズンドコ
zundoko zundoko
♪ズイズイ ズイ
zuizui zui
それを聞いてご機嫌になった辯才さまは、ナマズたちと一緒にきれいな声で歌い始めました。
辯才美女聽著這歌仔心情非常好,開始摎塘虱合唱當好聽歌仔。
♪ズンドコ ズンドコ
zundoko zundoko
♪ズイズイ ズイ
zuizui zui
♪ズンドコ ズンドコ
zundoko zundoko
♪ズイズイ ズイ
zuizui zui
辯才さまが歌ったのは、この時が初めてだったそうです。
辯才美女唱个歌仔係第一擺演唱。
辯才さまが歌い出したとたん、月の光が湖の上まですーっと伸びてきて、その月の光の道を天の舞姫(まいひめ)たちが、キラキラと光る羽衣(はごろも)を輝かせながら降りてくるではありませんか。
辯才美女開始唱歌仔該下,月光个光線照落湖面頂,天頂个跳舞仙女著等仙女衫順等月光个光線道路,金晶𥍉亮溜下來。
天からは天の楽隊(がくたい)がやさしい音色をふりまき、月は湖をまぶしいくらいに明るく照らします。
天頂傳下來个係,天上樂隊演奏輕柔个音樂,月光摎湖面照著光華華。
楽しいうたげは、一晩中続きました。
快樂个宴會進行歸暗晡。
この時から、竹生島(ちくぶしま)にはたくさんのナマズが住むようになり、辯才さまをお守りするようになったそうです。
該量時開始,聽講竹生島有當多塘虱,像形愛保護辯才美女樣。
おしまい
煞咧
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